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お泊り 8
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「さて、何をしようか。」
朝食を食べ終えた俺たちは、再び牧野の部屋についてくつろいだ。のんびり伸びをしているコイツを目で見ながら、俺は頬ずえをついている。
今日は土曜日。学校は休み。
牧野の家にいるのは相変わらず俺とコイツの二人だけ。
まあ、土曜日ってことは昼まで出勤するところとか、昼じゃ帰れなくて残業するところとかあるだろうから、そこは気にしない。
でも、昨日、コイツの両親を見ていないということが俺の中でずっと引っかかっている。
こんなにも自分の子供を放置して。
牧野は、寂しくないのかな……寂しいだろうな。
俺が牧野を見ると、伸びをし終えた牧野が俺の方を振り返って「ん?」という表情をした。そこには、悲しげな面持ちは無かった。
「どうしたんだ? 何かを考えて。日坂らしくないな。」
そう言って、くすりと笑う牧野。
まあ、お前がそんな風に笑ってくれるのなら、俺はそれでもいいのだけど。
「日坂?」
楽しそうに微笑む姿。これが、牧野の本当の姿なんだな、と思った。
もしかしたら、教室にいる牧野はいつも「無口な牧野」を無意識のうちに演じているのかもしれない。
「牧野。」
「何だ?」
窓から差す朝日が、牧野をキラキラと爽やかに照らして、眩しい。
俺は、その光へと歩む。
そこには、綺麗な目をした君がいるから。
牧野の首に両腕を絡ませて、背伸びをする。
ちゅっ
白い頬にキスをすれば、あっという間に赤く染まる。
両腕を首から離して元の位置に戻ると、牧野が俺から顔を背けているのが見えた。でもお前は、自分の耳が赤いということに気づいていない。
ふっと微笑む俺。
俺も結構、牧野大好き人間になってきたな。
そう。
これは、今朝のお返し。
俺なりのおはようのチュウだ。
元気になる魔法……なんてな。
自分で言ってて恥ずかしい。
牧野が寂しいなら、俺はずっとお前の隣にいてやるよ。
そういう思いを込めて、君にキスをした。
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