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お泊り 9
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「牧野、お前ってさ。」
「何?」
「勉強のこととなると、鬼だな。」
「鬼?」
せっかく昨日の夜から朝までいい雰囲気だったのに、恐怖の勉強会がまた始まった。今日は昨日の数学の復習をしたあと、国語の勉強中だ。
ムード、台無し。
「なんだ、日坂。お前はどうしてこの家に来ている?」
「牧野先生に、勉強を見てもらうため……です。」
「そうだ。わかったら、さっさと手を動かせ。」
勉強机についている椅子に座って上から偉そうに微笑む牧野。俺は床に敷かれた座布団に座って、折りたたみの机に勉強道具を広げている。それだけだというのに、馬鹿にされてる感がより一層増している。
でも、こいつの教え方は上手いし……。
綺麗に俺用にまとめられている国語のノートを見る。これだって、俺が昨日の数学の復習をしているときにサラっと作ってくれたものだ。
牧野はすごい。
そして、古文は難しい。
なんだこれ?
日本語か?
「どうした?」
手を止めているのがバレたのか、こちらを振り向いて覗き込まれる。
「いや、牧野のまとめノート、すごくわかりやすいんだけど、俺、応用とか苦手で……」
「どこだ?」
椅子から降りて俺の後ろから問題をみる牧野。
すぐ右後ろに牧野の顔がある。でも、以上に意識してしまうのは俺だけのようで、牧野は真剣にノートを見つめている。
近い近い近い!
やばい! 心臓が持たない!!!
「ここ、読み間違えてないか?」
目の前の問題に牧野の指が行く。もちろん、見つめはするけど、目に入っているのは牧野の大きな手。
「おい、聞いているのか?」
だめ! 顔を覗き込むな!
願いも虚しく、顔を見られてしまう。
恐る恐る牧野の方を見ると、真っ赤な顔をしていた。
「えっと……ごめん、牧野……。あ、ありがとう……。」
「あ、ああ……。」
それ以上お互いにじゃべることなく、また互いの作業に取り組んだ。
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