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学ラン着たライオン
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止まった足音が俺に絶望を与えた。
建物の後ろに隠れていた俺の前に誰かが立つ
怖すぎて顔を上げられない
殴られはしないだろうか。
俺はこう見えてチキンだ。
友人に冷静なチキンといわれて言い返せないほどには自覚している。
「おい」
「…」
「おい」
2度目は肩をガッチリ掴まれた
「は、い」
青ざめた様子とは今の俺に相応しい形容詞
嫌々ながら声の主の方を見た
「…っ」
喉を鳴らす
学ラン姿のライオンかと思った。
「なにしてんの?」
金色の髪の毛は電灯に照らされてキラキラしてるし、そもそもありえない程のいけめん。綺麗。
眼鏡の平凡男な俺とは別格
例えるとTwitterとかで自身の姿を載せただけでフォロワー数が1万とかいきそうなくらい…ってあれ、分かりづらい。
こんな背が高くて顔が良かったらモテるだろうな。
ねぇちゃんが言ってたけど見てくれが大切らしいし。
「名前は?」
一瞬じっと考え込んだような仕草を見せた金髪くんが問うてきた。
「…瀬那」
ここで名前を聞くことに意味はあるのかよ、と思うけど決してそれは口にはしない。
「せな?名字?」
「名前です」
「へえ、珍し」
みんなに言われます。
「綜馬」
「そうま?」
「俺の名前。」
「はぁ…」
名前までかっこいいのか
何この会話
意味あんの
「もうお互いの名前知ったから他人ではないよな」
「ん?」
「ってことで今日、瀬那さんち泊めて」
「え。」
「なに、ダメなの?」
しゃがみ、首を傾げて訊いてくる綜馬さんは確かにイケメンですけどさっきまで殴り合ってた物騒な方なのでちょっと怖い
そして、さん付けが妙に怖い…
「まじでだめ?」
ちょっとがちで困ってるっぽかったからどうしたのかと何となく訊いてみたら、家出中で色々な所を寝泊まりしているらしい。
ついでに言ってしまえば、さっきの喧嘩は泊まった女の彼氏と出くわしてそのまま殴り合いにまで発展した、みたいな。俺は言いたいよ、女よ男を安易に泊めるなよ、と。
まぁ俺の童貞、2年前に奪ったから情でもあんじゃね?と、一言。
頭を抱えて叫びたくなった。
俺には経験しないであろう話
「…今日だけならいい、けど」
なぜ情けをかけたんだ俺
「ありがと瀬那さん」
ぐわっと抱きしめられた
なんだ彼は帰国子女かなんかなのかな
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