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恋人未満からの第一歩
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「お前のこと好きなんだけど」
「えっ」
バイトの帰り道、今までずっと友達だと思っていた奴に告白された。
中学時代から高校大学、バイトまで一緒でずっとつるんできた友達だった。
今まで築き上げてきた関係が崩れるのを恐れてずっと言えなかったが、もうこの感情を押し殺すことが出来ないと言う。
その時俺は、男同士だというのに不思議なことに不快感は無くむしろ断ることによって一人の親友を失うことの方が自分にとっては一大事だった。
ビックリはしたけど気持ち悪くなんて思わないし嫌じゃない、と伝えた時に強く抱き締められたがそれも平気だった。
「痛い」といったら「ごめん!」と、真っ赤な顔で言われてすぐに解放されたけど。
友達から突然恋人っていうのも難しいから、徐々に慣らして様子を見るという方向に話はまとまった。
・・・・・・そんな事を話したのが約一ヶ月前だ。
今日もあの日と同じように、同じシフトでバイトを上がった。
俺はこいつに言いたいことがあるんだ。
8月の蒸し暑い夜。ポケットに両手を突っ込み、意を決して言う。
「・・・お前さー、俺になんにもしないの?」
「!?」
横にいる、友達以上恋人未満の親友が目を丸くして固まる。
何をそんなに驚いているのかわからなくて、そのまま続ける俺。
「あんな熱烈に告ってきておいて一ヶ月間何にもないから俺の勘違いかとおもっ・・・」
固まったまま動かないと思えば、突然腕を伸ばしてきて両肩を強く掴まれる。
グッと寄せられて、正面から真っ直ぐに見つめられた。
そしてゆっくりと目の前の顔が近づいてくる。
「っ・・・・・・!」
唇が、唇に触れる。
「なっ・・・っ、・・・・・・え?」
「・・・・・・。」
この一ヶ月間手の一つも繫いでこなかった奴がまさかいきなりキスをしてくるとは思わなくて、突然の出来事に対処できずにへんてこな言葉しか出てこない。
人の肩を鷲掴みにしたまま俯いた目の前の顔を覗き込むと、今にも泣き出しそうに眉を寄せた険しい顔。ついでにすごい汗。
「お前にその・・・、気持ち悪いと思われるのが耐えられない」
親友を失うのが嫌でなんとなく受けた告白。
その俺の『なんとなく』が伝わっていたのかわからないが、こいつはやっぱり俺に対して一線おいていたようだった。
掴まれた肩が痛い。相手のうつむいてた顔から目が離せないでいたらゆっくりと顔が上がり、目が合った。
その途端、自分の顔に一気に熱が集まるを感じた。心臓もバクバクうるさい。
こちらの様子を伺っている相手を見て、込み上げてくる感情は・・・きっと相手が俺に向けている感情と同じもの。
よくわからなかったその感情に確信を持った次の時には自分の方から再び唇を重ねていた。
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