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友人からのプレゼント
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少し早めに家を出て、駅前の雑貨屋に来てみた。何をあげたら喜ぶだろう。
ゴチャゴチャと色んな物が並んだ棚を見て行きながら、付き合っていた相手に何をやっていたか、思い出してみる。
アクセサリーが多かったかもしれない。指輪とか、あと鍵。
両親が殆ど出張で居ないと知ると、みんな合鍵を欲しがっていた。
指輪はサイズを知らないし、合鍵は今持ってない。てか、いつ親が帰ってくるかもわからない俺の家の合鍵渡すより、初芝のマンションの合鍵くれれば良いと思う。
「んー…」
これまでの経験は、何の役にも立ちそうにない。
じっくりと棚に並ぶ商品を見詰める。まず目に止まったのは、アクセサリーだ。
自分から贈りたいと思って見てみると、ただの煌びやかな装飾品には見えなくなってくる。ネックレスなら首輪、ブレスレットやアンクレットは手錠と足枷、指輪は大きさと使うところを変えれば、良い拘束具になる。
初芝には、アクセサリー(拘束具)が良いか。いや、もう少し見てみよう。
次に目に止まったのは、アロマキャンドルやお香。これはさすがに初芝は、喜ばないか。
その後も、ぬいぐるみ、財布、食器、本、色々見てみたけど、コレと言った物は見つからなかった。
「…やっぱり首輪か」
アクセサリーの棚に戻ろうとした俺の目に、ふとある物が入ってきた。
「これは…」
見付けた物を手にとって、そのままカウンターに行った。
初芝は、喜んでくれるかな。
店を出て、買った物に文字を書き込んでカバンにしまう。
たった数文字を書くだけなのに、手が震えた。
文字にするのが、こんなに緊張するものだと、この時初めて知った。
時間を見ると、そろそろ集まっていても良い頃だ。駅前広場に向かう。
駅前広場に到着したけれど、人が多くてどこに居るのかわからない。パーティーと言うからには、それなりに人数が多いだろうから直ぐ見付かると思っていたんだけど。
そろそろ時間なのに、誰とも合流出来ない。この雰囲気での一人の気まずさに、園田に連絡をしようとしたとき。
視界に初芝を見付けた。
向こうもこちらに気付いて、ハッとなる。一瞬逃げそうになったけれど、初芝は逃げずに小さく片手を上げた。
「…よぉ。…他の奴らは、まだなのか」
「たぶん」
ポケットに手を突っ込んで、キョロキョロする初芝が可愛い。鼻の頭が赤くなってる。
今までイベントなんて興味なかったけど、初芝と過ごす聖なる夜。悪くない。いや、むしろ滾る。
一週間ぶりくらいに間近に見る初芝に、ムラムラしてくる。クリパとかどうでも良いから、初芝連れて帰りたい。
「来ないな…。あー、さむっ」
ぶるっと寒さに身震いする初芝に少し寄り、園田からの連絡を確認する。
時間と場所は間違ってない。何故誰も来ないのか、電話しようとしたら丁度メッセージが届いた。
⇨ ごっめーん☆
時間、間違えちまったわ-。
実はもう始まってるし
酒飲んでるから
シバケン来られると困るー
てことで愛する美鶴きゅんに
俺からのプレゼントvV
園田……。
お前、良い奴だったんだな。
でも、初芝に何て言おう。
「先生…俺、先生と話したい事あるんだけど」
「俺はない」
「……じゃ、せめてこれ読んで」
カバンから取り出した、さっき書いたばかりの手紙を渡す。
初芝は俺の顔と手紙を交互に見詰めてから、恐る恐るといったよう手紙を開いた。
たった一言しか書いてない。伝わるだろうかと、ドキドキする。
それを見た初芝の反応は、しかし薄かった。手紙から目を離すと、広場を見回す。
「……また遊んでんだろ。俺が喜べば、他の奴らが馬鹿にしに出てくんのか?」
「ちが」
「人の気持ち弄んで……そんなに、楽しいかよ。しかも、こんなやり方で……帰る」
「ちょ、先生っ」
俯いて歩き出した初芝の後を追う。
何度話し掛けても無視され、段々焦ってきて、思わず初芝の腕を掴んで振り向かせる。
ここが駅前だという事も忘れ、引っ張った勢いで初芝にキスをした。
「っ!」
「あんたが好きだって、どうしたら信じてくれる?」
「ぁ……さか………………ハッ!」
顔を真っ赤に染めたかと思うと、一瞬で真っ青になり初芝は周りに視線を巡らし俯く。
そこで、気付いた。ここは駅前だと。
しかも地元で、通ってる学校も近い。俺は構わないけど、初芝はこれでも教師だから、今のはさすがに不味かったかと少し反省した。
「……場所…変えるぞ」
「うちの方が近い」
「…じゃ、お前ん家行くぞ」
急いで歩き出した初芝の手を握る。
「先生、反対」
「…早く、ここから離れたいんだよ!少しは焦れ!」
握った手を振り解こうと真っ赤になる初芝の手を、強く握り直して家までの道を歩き始めた。
焦る初芝が可愛くて、少しゆっくりめで。
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