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欲しいのは【忌子だった少年視点】
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長が相変わらずの拳を緑間に食らわせた後、俺を見た。
「清志くん」
「何だよ」
「君の過去は消えません。彼らが君を傷付けてきたのは事実です」
分かってる。そんなことは。
コイツらが俺の記憶に関わっていた。時々記憶が無いのは、コイツらのせいだった。
「思い出した今、君に問いましょう。君を育てた親として。
彼らが好きですか?幸せですか?」
俺はコイツらの「先輩」になって、コイツらの不完全さを知った。
完全無欠と思っていた憎い奴らは、本当はひどく穴だらけだった。
だから、俺は。
「幸せにしなかったら轢いてやるよ。木村、軽トラの用意しとけ!」
「任せとけ、宮地」
緑間と高尾が俺に抱きついた。重いっつーの!
「宮地さん、俺……っ!絶対幸せにしますから!!」
「俺が不幸にするはずないのだよ!」
小っ恥ずかしい告白するコイツらを、やれやれという顔で長が見ていた。
昔から欲しいのは、欲しかったのはいつも一つ。
俺への愛情だけだった。
長がくれてもまだ渇き求め、誠凛がくれても飢えていた。
何故なら、誠凛は優しいから。
もっと強い愛情を欲した。
それを埋めたのは、緑間と高尾だった。俺の心は、長年かけて満たされた。
「なあ、黒子」
火神が長に何気なく尋ねた。
「この止まった時間は、いつ動き出すんだ?」
長はいつものように穏やかに笑って言った。
「もう少ししたら、ですよ」
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