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コイツの存在 【忌子視点】
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翌朝、目が覚めると何かあったかいモンが俺の腕の中にあった。
「……?」
俺、一人だったよな?寝ぼけながらも腕の中を見ると、空色の髪が見えた。
あ……そうだ、コイツを人間世界に戻さなきゃならねえんだった。
「めんどくせえ……」
コイツを帰すために、下りた事のねえ山を下りるのか……。
確か、道は誠凛の奴らに聞いたから……大丈夫だろう。
「ん……」
もぞもぞと動いて、黒子…………
いや違う。小動物が起きた。
「あ……おはようございます……」
ふにゃっと笑う黒子は間違いなく前世が小動物だと思う。
何だコイツは。あの長に似てるくせに。
長はどこかキリッと男前に見えたのに何だコイツ。小動物だな。
「起きたなら顔洗ってこい」
黒子が部屋の中をウロウロしながら洗面台で顔を洗っていた。
……俺の羽やら髪やらから、甘い香りがした。黒子が甘い匂いさせてたからか。
「宮地さん、宮地さん」
「何だ」
「お腹、空きました」
無表情のくせに。無表情のくせにさっきのせいで小動物にしか見えねえよ。
「あー……そうだな。ちょっと待ってろ」
確か作り置きの料理があっただろ。と、冷蔵庫を開けると黒子がびっくりしていた。
「冷蔵庫なんてあるんですね」
「人間の世界の物が便利だなーって言って悪魔も鬼も使ってるぞ。
人間は電気を使うらしいけど、俺達は鬼の力やら魔力を使ってる」
「……やっぱり人外なんですね」
「当たり前だろ、投げんぞ」
「何をですか」
黒子が笑った。……どこか悲しそうに笑う感じだったが、そうじゃなくて。
ただ無邪気に笑っていた。
「……ほらよ、食べろ」
料理を並べると、ちょっと困ったような顔をした。
「僕、こんなに食べられないんですけど」
「はあ!?」
……まさか、コイツの小食でかなり時間を使うとは思わなかった。
食わせようとしたら滅茶苦茶拒否されたので笑顔で追いかけたりはした。
が、結局あんまり食べていなかった。お前それでよく動けるな。
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