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僕の声は届かない 【少年視点】
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固まる緑間くんと赤司くん。そして、宮地さん。
仲が悪い、という言葉が可愛らしいものに思えた。どうして彼らは……?
「テツヤ……違わない、お前はテツヤだ」
どこか別のところを見ているような目で、彼は僕を見つめていた。
「どうしてだい、テツヤ…
どうして自分が鬼だと認めないんだ」
「僕は人間です。残念ながら、鬼ではありません」
赤司くんに分かってもらおうと、僕は口を開いた。
「君の言う黒子テツヤと僕は別人です。君は僕を知らないし、僕は君を知らない」
バスケが大好きな、ただの高校生。それが僕だ。
「違う!」
赤司くんは、僕に近付いてきた。
「テツヤだ、あの日……僕に別れを告げに来た、テツヤだ」
「……あ、かし……くん……」
僕じゃない僕を呼ぶ悲痛な声に、必死に縋る目に僕は飲み込まれそうだった。
僕は、黒子テツヤ……高校生で、バスケ部で、バスケが好きで。
(僕は鬼で、誠凛集落の長で……)
違う!
僕は頭を振った。違う、僕は人間だ!
「思い出して、テツヤ。忘れてしまったのなら、思い出せばいい」
赤司くんの声に、完全に飲み込まれそうになった。
「黒子!」
その時、火神君の声が聞こえたような気がした。
「黒子!!しっかりしろ!」
宮地さんの声がして、僕は宮地さんの腕の中にいた。
「……みや、じ……さん……」
「しっかりしやがれ!お前は人間だろうが!」
赤司くんは呆気にとられて……不敵に笑った。
「忌子が……僕に勝てると思っているのか。僕の邪魔をするな」
宮地さんは赤司くんから目を逸らすことなく睨み返した。
「お前が人間を惑わすからだろうが。轢くぞ」
「やれるものなら、やってみるといい」
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