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どっちが悪い? 【忌子視点】
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俺は黒子を頭領から庇うように後ろに隠した。
前からは、あの憎い秀徳の長と頭領が俺を睨んでいる。黒子は、俺の服をギュッと握っていた。
「……ただの人間に鬼の頭領が入れ込みすぎじゃねえのか」
そう言うと、赤司は俺を嘲笑った。
「ただの人間?あれだけテツヤの世話になっておきながら、お前にはテツヤが分からないのか?
彼は間違いなく、テツヤ本人だ。忘れてしまっているだけで」
「コイツは誠凛の長じゃねえ。黒子テツヤ、人間だ」
「違う、テツヤだ。僕達の仲間、鬼の子」
ダメだ、コイツに話は通じない。
「おいで、テツヤ。お前のいる所はそこじゃない」
頭領が黒子に手を伸ばした。ハッとして黒子を見ると、頭領の暗示にかかっている。
ぼんやりと、手を伸ばそうとして————……
「テッちゃん!!」
もう一人の、憎い存在の声がして。
黒い髪と黒い翼が俺の視界を占めた。
「駄目だよ、アンタはアンタなんだ。忘れちゃいけない。ね?」
「た、かお……くん……」
黒子を包み込むように抱きしめて、目を隠し、耳元で囁き、
黒子は正気に戻った。
「黒子!」
「宮地さん……、スイマセン。ちょっと揺らぎました」
「馬鹿野郎、轢くぞ」
憎い、秀徳領主……高尾和成は、俺の方を少しも見ずに頭領を見据えた。
「相ッ変わらず人を惑わしては、いらなくなったら切り捨てる。そんな事を繰り返してんだな」
「ハッ、悪魔風情が頭が高いぞ。テツヤとの再会の邪魔をしないでくれるかな」
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