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目を覚ましたコイツは 【忌子視点】
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入ってきた悪魔に、俺は身構えた。
きっと開けなかった事で、色々言われるに違いない。そう思った。
「忌子……!何で開けなかった!?テッちゃんに何かあったら……!」
「キミは」
黒子の口が動いた。
「いつまで彼を忌子と呼ぶんですか。あれから数十年は経ったというのに」
声が違う。アイツは少しオドオドしていた。
これはまるで
「テッちゃん……?」
実渕が、呼んだ。
目が開かれた。体を起こすと、髪が伸びた。角が生えた。
「はい。何です?実渕さん」
まぎれもない、誠凛集落の長 黒子テツヤがそこにいた。
「ど……して……」
「いい加減、逃げるのを止めようと思ったんです。
どうせボクを呼んだ彼は、ボクに用があった筈です。あの子ではなく、ボクに」
俺は目の前にいる鬼に抱き着いた。
ずっと行きたかった。こんな苦しいところなんかより、彼について行きたかった。
だけど、あの日の俺は臆病で
「……清志くん。ただいま戻りました」
言いたいことは沢山あった。
聞きたいことも、話したいことも。
だけど、変わらない優しい声に俺は泣いてしまって全部忘れた。
「キミを、随分一人にしてしまってごめんなさい」
「謝んな……!轢くぞバカ長……!!」
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