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どうして彼は 【誠凛の長視点】
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泣きじゃくる彼を落ち着かせようと、背中を軽く叩く。
ボクは、何であの時に彼を無理にでも連れていこうと……
いえ、来ない方が良かったですね。
「そうですか、でもごめんなさい」
「うるせえ……!」
おかしいですよね。ボクが居なくなって、既に10年は経った筈なのに
どうして、彼はいまだに忌子と呼ばれるのか。
高尾くんも、緑間くんも清志くんには惹かれているはずなのに。
こんなに綺麗な彼に、目を奪われているはずなのに。
「テッちゃん……」
実渕さんが、ボクを呼んだ。
「今、出来ることなら戻ってほしくなかったわ」
「氷室さんですね。分かっています」
彼は、火神くんを心底愛していた。
裏切りすら、火神くんは言わなかった。
彼を悩ませるからと。
少し、羨ましかった。
「……タツヤちゃんは、この秀徳領域に来るそうよ」
「殴られようが、何されようが構いませんよ。
それも、逃げ出したボクが向き合うべきことですから」
どんな事があっても、ボクはもう、逃げないと決めた。
火神くんが迎えに来ても、リコさんや順平くんが来ても揺らぎはしない。
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