アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
裏切りの原因は 【誠凛の鬼視点】
-
俺は水戸部凛之助。鬼として生まれた俺は、生まれつき声が出なかった。
長や、補佐達なら声が出なくても分かってくれたけど、それ以外は難しかった。
「凛くん」
長は優しい。長だけじゃなくて、誠凛の皆は優しい。
だから、劣っている俺でも誠凛では酷いことを言われることはなかった。
「今日も山へ?」
頷いた。春の山は好きだから。
ポカポカしてあったかい。
「気を付けて行ってらっしゃい。悪魔には特に、ですよ」
こくり、と頷いて走った。
ただ、その時は行かなければ良かったと思った。
「あれ?」
小金井に、会ってしまったから。
悪魔の小金井は、俺に優しかった。
「鬼なの?マジで?俺、悪魔だけど鬼とかぶっちゃけ見たことなくてさー」
俺も小金井も同じだった。
力が弱くて、俺なんか声が出ないから精鋭達に加われなかった。
小金井だけが、俺の言いたいことを分かってくれた。一字一句違わずに。
「え?悪魔に……会えと?」
しばらくして、俺は小金井と一緒にいたくて長に頼んだ。
もしかしたら……俺達二人が鬼も悪魔も関係なく暮らせるんじゃないかと。
「……分かりました。滅多にわがままを言わない凛くんのわがままですから」
長はすぐに悪魔に連絡をとった。
そして、堂々と小金井に会えた。
「水戸部!」
「(小金井!)」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 112