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僕は逃げた 【誠凛の長視点】
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クラっときた。
「はは……、赤司くん、は……強い、ですね……」
おそらく、このままここにいたならボクはおかしくなる。
何とかして脱出しなければ……
「黒子」
赤司くんが来た。
「随分弱っているね」
「キミの弟のせいですよ……」
赤司くんは苦笑して、ボクに肩を貸した。
「しっかりしてくれ、もうすぐお前は俺達を裏切るんだ」
「そう、でしたね」
久しぶりに、頭領のいる屋敷を動き回っている気がする。
「もうすぐ外だ」
光が差す。眩しい、光。
暖かな空気。涼しい風。
数年ぶりに見た空は、言い表せないほど綺麗だった。
「黒子!!」
懐かしい声。
「長!」「黒子くん!!」
「……火神くん?順平くん?リコさん?」
聞き返したボクに、三人とも抱きついてきた。
「心配させんな!バカ長!!」
「無事なの!?怪我は!?」
「全員、お前の事を待ってるぜ」
ボクを、待っていてくれた。
ボクを信じ、長として認めていてくれた。
「……赤司くん」
「何かな」
「ボクは、キミ達を裏切ります。ボクの大事な人達の為に」
赤司くんは、笑って言った。
「分かっているよ。行っておいで」
「ありがとう、ございます!!」
ボクはそれきり振り返らずに、仲間の元に走った。
誰が止めようが、今のボクは止められない。大事な人達を守らなきゃ。
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