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裏切りの結末は 【誠凛領主視点】
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札は、鬼封じ。鬼を足止めするときに使う、人間の技。
「しばらく大人しくしてやがれ」
悔しそうに札から逃れようとする鬼共をよそ目に、花宮は俺達に言った。
「これだけか?」
「い、いえ!彼らを、ボク達を逃がすために向かっていった仲間も……!!」
黒子は慌てて言った。仲間を見捨てねぇ黒子らしい。
「……」
花宮はスゲェ複雑そうな顔をした。
んで、他の人間に仲間を見つけて来いと指示した。
「テメェらが人間界に行くにはな、体を持ったままじゃ無理だ。魂にならなきゃな」
「魂……」
俺達は死んだら何も残らない。
だから、その手前で魂になる。自分を守るために。
ただし、条件がある。
魂になると、誰かに運ばれなきゃ動けねえ。そして妖力や魔力の攻撃は防げない。
「万全な状態なら、長や領主くらいなら無傷で通れるがな」
生憎、俺達は追っ手から逃げている時に傷を負っている。
「いたぞ!」
「副頭領!!長!!」
マズイ、追っ手だ。
「黒子、すぐに魂になれ!!」
誠凛という一つの領域が裏切ったせいで、追っ手も多い。
「でも、ボクは……!!」
「大丈夫だ、お前は俺が守ってやるよ!」
狙いは黒子だ。なら、黒子と水戸部、小金井を先に逃がしてやればいい。
「私達もいるわ!大丈夫、水戸部くんも小金井くんも早く魂に……」
その言葉は、遅すぎた。
「水戸部くん!?」
いきなり水戸部が黒子を抱き締めたと思ったら、矢が飛んできた。
飛び道具かよ……ッ!!
「り、凛……くん……?」
水戸部がニコリと笑う。大丈夫。そう口を動かして、
消えた。
「凛……くん……」
水戸部は、死にかけていた。小さな魂の欠片だけを残して。
「凛くん!!」
黒子は必死に欠片を握り締めた。力を込めて、少しでも生きられるように。
「水戸部!!」
小金井は、怒り狂って矢を放った鬼達に向かっていった。
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