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二人の中で 【忌子視点】
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俺の涙が枯れ果てた頃。高尾が口を開いた。
「なあ」
「何だよ」
「いつから、俺達を恨んでた?」
今更、聞くのかよ。
散々人を忌子扱いしたくせに。
「んなもん、忌子の意味を知った時からだ。長に聞いた」
あの人も、火神も俺を忌子とは一度も呼ばなかった。
忌子と呼ばないのか聞いたら、スゲェ怒ってた。言った奴抹殺とか言ってた。怖いのは長だろ。
「テッちゃん、言ったんだ」
「テメェらは何も考えねえで言ったんだろうが、俺だって生きてんだよ。テメェらの呼ぶ忌子ってのは生きてんのを否定されてんだ」
その時だ。不味い気配を感じた。
長へのスゲェ殺気。頭領に気に入られた鬼に誰が。
「……お前、名前」
「は?」
「だーかーら、名前だって。忌子と呼ばれたくないんだろ?」
「……テメェは名前も知らねえのかよ」
呆れた。忌子忌子言った相手の名前も知らねえ。人を傷付ける悪魔らしいな。
「宮地清志。清志と呼ばれんのは嫌だから宮地と呼べよ」
下の名前で呼べるのは、誠凛だけだ。
「分かったよ。んじゃ、宮地。今の、感じたよな?」
俺は無言で頷いた。あれは本気の殺意だ。
「テッちゃんは、うちのトップも気に入ってるから手を出すバカなんていないはずだ」
なら、下級の馬鹿か上級の補佐か。
だが補佐達も長を嫌いな奴はいない。
「一体誰が……」
「一時、手を組もう」
高尾が言った。
「テッちゃんは不味い。手を出されたら、トップが怒り狂う」
「分かった。長達が騒ぎ出して俺のせいにされんのも御免だ」
俺と高尾は、長を助ける為に手を組んだ。
不思議と今は不快感があまりない。
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