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赤司征十郎という鬼 【2トップ視点】
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アタシ達が部屋に着いた時にはもう、とんでもなかったわ。
和成ちゃんはお腹押さえて悶えてるし、清志ちゃんは真っ青になってテッちゃん止めてるし。
テッちゃんは、和成ちゃんをひたすらグサグサとクる言葉投げかけてるし。ほら、和成ちゃんてば……もう半泣きよ?あの悪魔がよ?
「長!!もういいから!!」
「清志くん、ボクは事実を言ってるだけですよ?」
テッちゃん……アナタ、怒らせると怖いのね……。よく分かったわ。
「それで、テッちゃん」
「……はい」
「征ちゃんを、どうするの?」
一気に、部屋の空気が張り詰めた。昨夜感じた殺気。今、鬼の集落へ行くには危なすぎる。
「行きますよ。彼が待っていますから」
「アナタだけ?」
「そのつもりで」「俺も行く」
清志ちゃんが遮った。
「征ちゃんは甘くないわよ?それに、アナタを狙う鬼もいる。分かってるわよね?」
「はい」
アタシの知る、赤司征十郎。
優しくて、弟思いな鬼。
でも、鬼の頭領の兄の赤司征十郎は、違う。
頭領のためなら死ぬ事も厭わない。
誰を犠牲にしても構わない。
「それでも、いくの?」
「約束ですから」
アタシは強くありたかった。
だから、何を犠牲にしても後悔なんてしなかった。
でも、今。
征ちゃんの所へ、迷わず行けるテッちゃんが羨ましい。
「……征ちゃんを、頼んだわ」
あの日、何もしなかったアタシの代わりに。
征ちゃんを、助けて頂戴。
今なら言える。
アタシは、兄の赤司征十郎を愛してる。
もう、泣かないでちょうだい。
「はい。分かりました」
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