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一歩、遠ざかる 【誠凛の長視点】
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「で、黒子っち」
黄瀬くんは、ボクに抱き着いた。
「見つけたからには、海常で保護するッスよ?」
妖しく光る、黄瀬くんの瞳。ボクは分かっていた。
彼に会ったら、逃げるのは難しいと。
「……ボクはご存知の通り、裏切り者ですよ?」
「黒子っちが裏切り者?」
黄瀬くんはおかしそうに笑った。
「何言ってるんスか?黒子っち。黒子っちを保護するように命令したのは赤司っち……頭領ッスよ?」
ボクは目を見開いた。ボクを、保護する……?
「でも、ボクはキミ達を、鬼を裏切って悪魔と……」
「まぁだ悪魔に操られてるんスね」
黄瀬くんの瞳が、嫌な色に変わる。狂気を孕んだ、赤色に。
「……ッ、なら!なら、赤司くんの所に連れて行ってください」
黄瀬くんは笑ったまま、ボクに囁いた。
「赤司っちは、むざむざ黒子っちを悪魔に渡してしまった。俺ならそうはしなかった!!だから、俺が黒子っちを守るッス」
「……」
黄瀬くんは、狂気の一歩手前にいた。このまま無理に赤司くんの所へ行こうとすれば、まずい事になる。
仕方ない……。
「清志くん。ボクは、海常集落へ行きます」
清志くんは目を見開いた。当然だ。
だけど、鬼として……長として、彼を導いたのはボクだ。危うさも分かっている。
ボクは、この世界を壊しに来たんじゃない。
「着いて来ますか?」
清志くんは、着いて来るだろうか?まだ鬼が嫌いだろう清志くんが。
「行く」
ボクは笑った。ありがとうございます、と礼を言う。
清志くんは、本当にいい子ですね。
ボクは、赤司くんから一歩遠ざかった。
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