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ボクと彼 【誠凛の長視点】
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黄瀬くんを引きずりながら海常集落へと向かおうとすると。
「久しぶりだな。おかえり、黒子」
ボクに声をかける鬼がいた。明るい笑顔の彼を見て、嬉しくなって黄瀬くんを放り出して彼に近付いた。
「荻原くん!」「ごめんな、長を止めようとはしたんだが……結局黒子に止めてもらってさ。補佐なのに役に立てなくてさ」
「いいえ!」
彼はボクが誠凛の長になるまで世話を焼いてくれた鬼だ。
彼の方が年上だけれど、彼はボクに同年代の友人のように接し、ボクも彼を友達として仲良くしていた。
「むしろ、黄瀬くんをキミに任せてすまないと思っています。……キミの言うことも聞かないとは」
何だか不機嫌そうに拗ねた黄瀬くんを見てイラッとした。キミ、反省してませんね。
「こうしていると、洛山に居た時みたいだな。懐かしい」
荻原くんは、海常集落出身ではない。洛山集落出身だ。
だけど赤司くんと同年代の鬼は少なく、年長の鬼達は皆悪魔との長い諍いの中で消えていった。
だから、黄瀬くんの補佐には信頼する人を置きたくて。
黄瀬くんが心配だから、頭領に頼んで荻原くんを置いてもらった。
「そうですね、ボクが鬼になりたてだった時みたいです」
2人で笑っていると、清志くんがボクの袖を引いた。
「し、りあい……か……?」
鬼には徹底的に嫌われていた清志くんだ、誠凛以外の鬼はまだ怖いのだろう。
「大丈夫、ボクの友人です」
荻原くんは、優しい笑顔で清志くんの頭を撫でた。
「お前が黒子が大事にしてた清志かー。よろしくな、清志」
やっぱり、荻原くんは荻原くんです。
忌子と彼は呼ばなかった。清志くんは鬼の中では忌子と呼ばれるのが当たり前な程に嫌われているのに。
「テッちゃん」
高尾くんが後ろから声をかけた。
「俺はこの先行けねぇわ。海常を出る時に連絡してくれ」
着いて来る気満々ですね。いっそ清々しい程に。
笠松さん止めるだけじゃなかったんですか。いつの間に洛山まで着いて行く話になったんですか。
「長」
溜息を吐く。清志くんもボクを伺っている。
「分かりましたよ」
「黒子っちが海常を出る訳ないっしょ!?何言ってんスかアンタ」
黄瀬くんは無視して引きずりながら、ボク達は海常集落へと向かった。
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