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混乱が始まった 【トップ視点】
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しばらく静かにしてたが、洛山の方が騒がしい。鬼共が珍しく動揺してるみてえだ。
秀徳領域は桐皇と海常の間にある。陽泉は冬の山を挟んで向かいに、洛山は陽泉の奥にある。
桐皇と陽泉の境から少し南よりに誠凛がある。
洛山は一番遠いのに、鬼共の動揺が分かるって事は相当だ。
「トップ、アタシ達はどうするの?」
玲央が言った。そりゃそうだよな、基本陽泉にいて居城を持たねえ俺と違って、玲央や辰也は領主だ。領域をいつまでも空けるわけにはいかねえ。
「玲央も辰也も、各領域に戻れ。俺は高尾が戻るまで秀徳を指揮する。洛山集落が今、大混乱だ。悪魔から、手を出さねえようにしっかり見張れ」
「ハーイ」
「Okay,早めに戻ってくれよ、修造」
辰也に釘を刺されて苦笑しつつ、頷いた。
今はまだ仕掛けちゃならねえ。んな卑怯な事したら、鬼共がうるせえ。
「勝つなら堂々と、な」
狼が来た。鬼は烏を使役するらしいが、悪魔は狼を使役する。コイツは誰のかな、と。
「トップ!」
狼から、二人の声がした。ん?笠松と高尾、か?
「どうした、何かあったか?」
「春の山から人間が降りてきてる!祓い屋共だ、裏切り者じゃない!」
祓い屋……!?祓い屋は俺達の敵だ。一方的に敵視して俺達を消そうとしやがる!
「現在状況は!?」
「海常が襲撃を受けてる!手練が三人だ、手がかかる!」
「よりにもよって……!」
「トップ!」
狼がもう1匹来た。女の声、桃井だ。
「どうした、まさかそっちも襲撃か!?」
「海常にもいるんですね!桐皇の襲撃者は三人です、名の知れた祓い屋ばかり!!」
「こっちもだよ!トップ、気配感知出来ないッスか!?」
言われて、慎重に気配を探る。海常と桐皇を重点的に、だ。だが、何も感じない。……別の気配以外は。
「いや、無理だ。襲撃者は報告されている限りじゃ6人、いずれも手練だ、この俺に気配を悟らせねえくらいな。気をつけろ!」
嫌な予感しかしねえ。
それにしても襲撃者もだが、言われるまで気付かなかった。どんな手を使った?誠凛の奴ら。
「お前らは敵じゃねえから、見逃してやるよ。さっさと帰れ、大我」
俺は呟いて、ふと考えた。そうだ、洛山集落は。洛山集落は今、大混乱だ。誰も気付かなかったら……。
俺はゾッとした。忌み嫌い、憎んだはずの相手。それでも、鬼が心配になった。
「おい」
俺の狼を呼ぶ。コイツなら、狼の中でも一番速い。長を呼び戻さなきゃ、手練相手は厳しい。今はウチの奴を襲ってるからマシだが。
「今すぐ洛山集落に行け、すぐにだ」
手遅れに、ならなきゃいいが。
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