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頭領としての力 【頭領視点】
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今吉が、テツヤを始末しようと動く。暴れる。
そのテツヤは、僕に頭領を退けと言う。
呆然としながら、何をどうすれば正しいのか考えた。僕には分からないよ、テツヤ。
幼い頃から、頭領として育てられた僕にとって間違った判断を下すことは許されない。
「赤司!今吉サンを止めろ!!」
ハッとした。よく見れば、今吉を涼太と大輝が羽交い締めにして止めていた。
「今吉、そこまでだ」
溜息を吐く。頭領でありながら、裏切り者を補佐から出す所だった。
「頭領、分かってるやろ?」
いつもなら、それで止まるはずの今吉が。
今回だけは止まらなかった。彼から狂気のような気が溢れる。
どうすれば止まる、この狂気。
裏切り者を始末するまで追いかける、この執念を。
「止まれ!!」
第三者の声がした。僕にとって、不快なそれは今吉を止めるには効果的だった。
「……は、なみや……?」
「アンタの手にかかるのは俺だけでいいだろ。妖怪」
「……ふっ、何や妖怪て。ワシもお前も鬼やないか」
裏切り者、花宮真は僕をまっすぐに見据えた。
「俺はあのイイコちゃんな誠凛の長みたいな考えは持ってねえから、アンタなんかどうでもいい。むしろ、苦しめば最高だと思ってる。
だが、この世界が消えるなら話は別だ。長、黄瀬、すぐに集落に戻った方がいいぜ」
裏切り者が、と口を開く前に。彼は衝撃の一言を口にした。
「襲撃者だ。祓い屋が6人。海常に3人、桐皇に3人来ている」
それを聞いて、僕はすぐさま目を使った。彼の言う通り、人間がいた。
まだ悪魔の元にいる。だが、下の悪魔はほとんどやられた。
「大輝、涼太。すぐに集落に戻れ、裏切り者の言うことが正しい。悪魔が大半やられた」
「何だと!?」
「本当ッスか……!?」
彼らは一番悪魔に突っかかって、悪魔の強さを知っている。そんなに簡単にやられるような悪魔でない事はよく知っているはずだ。
もっと、相手をよく見ようとして……倒れた。
「頭領!?」
頭領の僕の役目は、生まれ持ったこの目で鬼達を見守り、この世界を守り、維持すること。
その力が、ない。僕はその事にやっと気付いた。
僕の力が、失われかけている。
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