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影武者の、本当の役目【影武者視点】
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「……?」
黒子や宮地に扉について話すと、征十郎の方へ向かう狼が見えた。……あっちは、まだ騒ぎが…… !
「宮地、黒子。どうやら、強行手段に出なくてはならないみたいだ」
妖力を使って、片目を征十郎と同じ金色に変える。これで、俺と征十郎の見分けがつかないはずだ。
「強行手段……?」
狼の、未来を見た。狼の主は悪魔のトップ。
征十郎に、襲撃者の報告に来たようだ。
今の征十郎には、無理させられない。征十郎が消えてしまう。
「次の頭領は、ゆっくり決めようと思っていたんだけどね。
そうも言ってられなくなった。俺が、頭領になる」
俺は羽織を着て、立ち上がった。
「黒子、お前は無事に帰す。火神に、お前を託さなきゃならないからね。お前の中の黒子にも、巻き込んで悪かったと伝えてくれ」
「聞きませんよ。ボクが戻ったのは、キミの為です。あの日、ボクを逃がしたキミの為ですからね。自分で伝えてください」
俺は笑った。
「宮地、着いて来るかい?頭領になった俺は、お前に恨みを忘れろ、と言うだろう。この世界の為に戦え、と言うだろう。今なら、逃げられる」
宮地はいつもの態度で、俺を見た。
「はあ?ふざけんなよ、兄貴と言えど埋めんぞ」
覚悟は、出来ているようだ。正直、宮地の力は大きい。忌子として生まれた彼は、悪魔の魔力も鬼の妖力も両方持っている。
「――――行くぞ」
二人が、俺の後を着いてきた。会議室はシン、としていた。征十郎が倒れ、狼が現在状況を伝えた。
「赤司!一旦休戦だ、鬼を派遣しろ!お前の目が必要だ!」
俺は、征十郎の影。
部屋に入る。
「ご苦労、僕の影武者」
だから、お前だけは。お前だけは、俺が助けないと。でなければ、一体誰がお前を助けると?
「……」
征十郎の焦点の合わない目が、俺を映す。
「久しぶりだな、悪魔。随分苦戦しているみたいじゃないか。聞いてはいたが」
「今はお前と口喧嘩してる場合じゃ」
「分かっている」
俺は、目を閉じて深呼吸した。
「黄瀬、青峰は各集落に戻れ。すぐに悪魔を援護しろ、どれだけ暴れても構わない。襲撃者を始末しろ」
「悪魔に?」「悪魔に援護、ってのが気に食わねえな」
「青峰。黒子が直すからどれだけ暴れても構わない、と言っているんだが?裏切り者だろうが何だろうが、今は襲撃者が優先だ。黒子は僕のそばで補佐、紫原は結界に力を入れろ。いつものように気を抜くな、非常事態だ。下手すれば世界が消失すると思え」
俺の言葉に、皆の表情が真剣なものに変わった。
「そんなにやべえのか」
「少なくとも、僕が感知出来ないくらいにはね。余裕はない、油断はするな」
全員が返事をした。
「それと、今吉。花宮を連れてお前も桐皇へ行け。荻原、お前の力も必要だ。黄瀬をしっかり補佐しろ」
「了解、ほな行くで」
「はい」
指示を出した鬼は、すぐに駆け出した。次は……。
「大坪は、万一に備えて秀徳で待機。連絡は烏を使え。緑間と宮地は待機」
これが、征十郎の影武者の役目。
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