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驚くべき事実【忌子視点】
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兄貴は、頭領としてすぐに世界全体を見渡した。
三つの扉……陽泉、秀徳、誠凛を見て、トップに告げた。
「侵入口は誠凛の春の山、だったね。今は閉ざされているみたいだ、これでもう襲撃者は増えない。侵入者は6人、と聞いているけど……」
「ああ。海常に3人、桐皇に3人だ」
「さっきから思っていたが、おかしいね……秀徳が襲撃されないなんて。海常と桐皇は離れている。秀徳へ行かずにどうやって海常と桐皇に?」
俺は、嫌な予感に目を見開いた。だけど、あの山は下りるのも一苦労で……
「冬の山、か?」
トップが言う。兄貴は頷いた。
「まだいるかもしれないな。6人は力が強いから下りられたんだろう」
兄貴は紫原を見た。
「陽泉の結界班を呼んできてくれ、冬の山からこれ以上下山させるな」
「りょーかーい」
兄貴はすぐに冬の山を見た。そしてすごく怖い顔をした。
「緑間、宮地と共に秀徳へ向かえ。思ったより祓い屋の数が多い……、一族みたいだ」
「一族!?」
これまで少人数でしか襲って来なかった祓い屋が、一族で!?
なら、前々から計画してたってことか!?
「強いのは海常と桐皇にいる。だけど、それなりの力の祓い屋が大勢冬の山にいる。今は迷って出られないみたいだが、下りてきたら最悪だ。今は無闇に冬の山に入るな、いいな?」
兄貴は俺達が頷いたのを見て、烏を飛ばした。
「紫原、聞こえるかい?」「赤ちん?聞こえるよ。結界班準備完了ー」
兄貴は狼を見た。
「陽泉の悪魔のシールド班も冬の山の麓に待機させてくれ、紫原は氷室と合流して冬の山を包囲。あの山一帯に結界を張ってくれ」
「は?え、あのデカさを!?」
冬の山は、春の山や秋の山より大きい。そりゃそうだ、全領域に繋がってる山だからな。
「だから、悪魔と協力しろ。お前と氷室なら出来るはずだ。トップ、洛山の精鋭を集めてくれ。こっちの鬼と一緒に冬の山に突入する」
「分かった」
その時、手を引っ張られた。
「何をしている、俺達も行くのだよ」
「緑間くん」
長は言った。
「……怪我させるなとは言いません。でも彼は、忌子ではなく仲間です。今だけでもどうか、忌子と呼ばないでください」
緑間はちょっと眉を顰めて、間を置いた。
「……分かった。では、宮地。行くのだよ」
長は俺の手を握った。
「無事に、帰って来てくださいね。清志くん」
俺も長の手を握り返した。
「長こそ……無理すんじゃねえぞ」
「気をつけますよ」
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