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人と鬼の限界【誠凛の長視点】
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黄瀬くんや青峰くんが悪魔に合流した。
彼らは守るため、最初から容赦なく暴れている。
「赤ちんー、結界張ったよー」
「ご苦労、紫原。緑間、着いたか?」
征十郎くんは、緑間くんに聞いた。緑間くんから、遅れて返事が来た。
「ああ。今着いたのだよ」
「万が一の場合の為に、お前達は待機してくれ。黛、精鋭を待機させてくれ」
「御意」
ボクは暴れる彼らが壊した領域をひたすら直していた。……本当、すぐ壊しますよね。黄瀬くん、青峰くん。
「……さて」
誰も居なくなり、トップが反応しない事で聞いていないことを確認した征十郎くんは赤司くんを抱き上げた。
「本当に無茶をするね、征十郎。兄として、お前が心配だよ」
「う、るさい……。誰が、影武者だ……」
「俺だよ、征十郎。分かってる」
征十郎くんは、目線でボクに着いて来るように言った。
征十郎くんが向かった先は、赤司くんの……頭領の部屋。布団に赤司くんを寝かせて、自分は頭領の座る椅子に座った。
「黒子、無理をさせて悪いね」
「いえ。キミは頭領ですよ?謝ることはありません」
その瞬間だった。手が痺れる。力を使いすぎたか、もう限界だ。
「黒子?」
「すみません、征十郎くん……。ボクは転生した身です……、人の身体で力を使うのは限界みたいです」
このまま使えば、未来のボクは消えてしまう。
だけど、青峰くんも黄瀬くんも止まらない。
「見つけたわよ!長!!」
懐かしい声がした。ボクは顔を上げた。
「……リコ、さん……?」
「何勝手なことしてんのよ!!」
「俺達皆、仲間だろ!仲間の為に仲間を裏切った!」
順平くんと、リコさんがいた。
「黒子!」
赤い、髪。赤司くんとは違う紅。
火神くんが、そこにいた。
「ッ、無事で良かった……!」
後ろからは、凛くんや小金井くんもいて。
ボクは泣きそうになった。
「ちょっ、長!?貴方無理してるでしょ!」
一目でボクの妖力を察したリコさんがボクに詰め寄った。
「状況は、分かっていますか?」
ボクは聞いた。彼らは真剣な顔で頷いた。
「伊月に聞いた。祓い屋だろ?」
にっと笑う火神くんは、ボクや征十郎くんに言った。
「俺達は今や人間だ。祓われたりしねえ。安心しろ」
「そうよ!それに、誰の補佐だと思ってんの?」
「俺達は世界維持の精鋭だぞ?忘れたのか?」
頼もしい仲間達は、笑っていた。
消えるのは、完全な魂で転生したボクだけ。そうだ、悪魔や鬼への攻撃は人間には効かない。
「赤司。俺達の力が必要だろ」
火神くんは征十郎くんに問いかけた。征十郎くんは厳しい表情で言った。
「お前達は、裏切り者で俺達の秘密を知っている。その事を忘れるな」
「分かってるさ」
征十郎くんは深呼吸して言った。
「火神は海常を、小金井、水戸部、土屋は桐皇を直してくれ。黒子ではもう厳しい。黒子は回復次第、彼らの補佐に回れ」
「俺達は?」
「各補佐はこれから洛山の精鋭で祓い屋の集まる冬の山に入る。その先頭に立て」
非情な命令だ。盾になれ、と言われている。
それでも彼らは従った。
「他は各領域で連絡係を。伊月はトップの元で僕と同じように目を使え、高尾は今は秀徳にいる」
「了解」
彼らは動いた。ボクは火神くんに支えられていた。
そう、ボク達は誠凛の精鋭……別名、世界の修復者。
ボク達しか、暴れて壊れた世界を直せない。他の者が直そうとすると力を使いすぎて倒れてしまう。
「無理はするな、黒子」
心配してくれる火神くんに笑ってボクは返事をした。
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