アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
隠していた力 【誠凛領主視点】
-
地面が揺れる。地震か!?何があったってんだ。
倒れた黒子を支えながら、俺は心配になった。
仲間は、キャプテンやカントクは無事だろうか。
「紫原くんが、倒れました」
黒子の呟きに、目を見開いた。紫原が倒れた……!?てか、何で分かるんだよ!
「敦が、か……」
赤司が起き上がった。まだ苦しそうな顔をしている。
「赤司くん、起き上がっては……。ボクはキミを守る為に帰ってきたんです、消えてもらっては困ります」
黒子の言葉に気付いた。だから、コイツは戻らなかった。俺達の手を、取らなかった。
「黒子、お前……」
「火神くん。氷室さんが紫原くんの代わりにこの世界の結界と冬の山の結界を張りました。陽泉の部隊も頑張っていますが、あれでは持ちません。赤司くんの前に消えてしまいます」
そう言った黒子の瞳は、空色に輝いていた。
頭領……赤司の瞳のように。
「テツヤ」
「キミから力をもらってボクは鬼になりました。だから、ボクはキミと同じ目が使えます」
呆然と黒子を見る俺達に、黒子は指示を出した。
「きっと征十郎くんは結界にまで気が回らないでしょう。火神くん、修復はボクに任せてキミは氷室さんを……キミのお兄さんを助けに行ってください。紫原くんが倒れた今、結界を続行させるのは無理です」
黒子が言った。……タツヤが消えるのは、嫌だ。
「悪い!任せた、黒子!」
俺は冬の山に向かって走った。カラスが寄ってくる。……コイツは冬の山にしかいない、八咫烏。力が一番強いが使役するのは難しく、冬の山で暮らしている奴くらいしか従わないと、前に黒子に聞いたことがある。
……てことは、清志か!?
「火神!どうなってんだ、アンタがいるのは感知出来てたけど長の側を離れるとか」
聞こえた声は、清志のものだった。
いつの間に、と思ったがそれどころじゃねえ。
「紫原が倒れた!今はタツヤが紫原の分まで力を使ってる!俺はタツヤを止めに行くんだ!」
「紫原が!?」
後ろで高尾と緑間の声が聞こえる。かなり動揺しているらしい。
「聞こえるか、火神」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 112