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決断【副頭領視点】
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宮地の烏……八咫烏から聞こえているだろう声が俺達に響く。
普通、烏を飛ばした側は飛ばした本人以外相手の声は聞こえない。
だが八咫烏は別だ。八咫烏が繋ぎに使われると、長達と領主以上の悪魔に声が伝わる。
「火神、聞こえるか」
トップの声が聞こえる。真剣な声だった。
「おう、聞こえてるよ。トップ」
「久しぶりだが挨拶は後だ。紫原が倒れたんだな?」
「ああ」
「だが、今はシールドを解くわけにはいかない。先程、海常が終わった。残ったのは黄瀬、荻原、早川、中村、小堀、森山、笠松。以上七名だ」
海常が、ほぼ全滅……?
俺は信じられなかった。海常には400を超える鬼と悪魔がいたはずだ。
「悪い」
青峰の声がする。桐皇が、終わったか……?
「桐皇は、一人逃しちまった。重傷は負わせた。残ったのは、俺と今吉サン、諏佐サン、若松、桃井、桜井、花宮と人間が四人だけだ」
「桐皇も、か……!?」
嫌な予感がする。中はどうなっているんだ……!
「赤ちん!!」
紫原の叫びが聞こえる。
「助けて……!人間が結界班に遠隔攻撃してる!既に数人やられた!結界に集中してるから守れない!」
どうする。シールドを解くと秀徳へ向かってくる。宮地は先陣を切る。
「真太郎」
赤司の、頭領の声が聞こえた。
声だけなのに、頭領の威圧が感じられる。
……俺が知る、赤司征十郎という頭領はやはりお前だ。
「お前に、任せる。僕も影武者も動けない。お前が判断しろ」
「俺がか?」
「僕が選んだ副頭領だ。お前の判断に、任せるよ」
頭領が、俺に。今まで判断を任されたことは無かった。だから判断を迷った。
「冬の山の状況を教えるのだよ」
「優勢です。残るはわずか数名の祓い屋のみ。あと一時間あれば始末が完了します」
黒子の声がした。高尾は温存したいからと目を使っていないのに、だ。
「黒子、どうやって知ったのだよ」
「愚問ですね、ボクがどうやって鬼になったか忘れましたか?緑間くん、すぐに決断してください。氷室さんが消えてしまいます」
俺は腹をくくった。……いざとなれば、宮地は守る。
「結界を解け。解かれたのと同時に突入する」
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