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終焉【頭領視点】
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目の前で氷のように固まる男と、泣き出しそうなテツヤに胸が痛い。テツヤが泣かないから尚更だった。
「テツヤ……」
「赤司くん。おそらく、この一族の頭領は彼です。彼が動けない今、残るは下の者達だけ。それもすぐに片付くでしょう」
テツヤの言葉に、僕は目を使った。テツヤが気付いて止めたが、力はそれなりに回復した。ほとんどは兄さんが背負ったしね……。
冬の山では、最後の祓い屋を始末し終えた後だった。
「……うん、もう祓い屋は残っていないね」
そう呟いて、悪魔三人組が喜んでいた時だった。グラ、と今までより大きな地震が起こった。
「Hey!聞こえるか!?」
アレは、創世の神か……?幼い頃、一度だけ聞いた神の声。
今では僕か兄さんか、トップくらいしか覚えていない。そんな彼女が何故。
「今から洛山以外の扉を開く!生き残ったヤツは扉から逃げろ、世界が壊れる!」
そんな、馬鹿な。僕は愕然とした。
今まで人間界と離れて平和に暮らしてきた。人間から世界を守る為にたくさんの同胞が死んでいった。
なのに、その世界を手放さなければならないのか?
「残った者と、居場所を確認する!」
兄さんの声がした。八咫烏と……これは。
悪魔の声も聞こえる。どうやら連絡に奥の手を使ったようだ。
フェンリル。狼の中でも一番の力を持つ。宮地の八咫烏のように、トップもフェンリルを兄さんの元に寄越したらしい。
「桐皇!」
「メンバーはさっき言った通りだ。洛山に向かってたが、今は陽泉と桐皇の境にいる」
大輝の声が聞こえた。声は沈んでいるが、元気そうだ。
「海常!」
「こっちも報告通りだ。現在、何かあった場合を想定して秀徳へ入った」
笠松の報告に、涼太はショックを受けているのだと感じた。プライドの高い涼太の事だ。
「陽泉!」
「冬の山。部下は大体死んだ。残ったのは俺と氷室と岡村、劉、福井と2名」
陽泉……。敦が倒れたのはやはり大きかったか。
「洛山は俺と実渕、葉山、根武谷、黛、その他6名だ。残るは、秀徳と誠凛だね」
兄さんの言葉に、真太郎が答えた。
「秀徳は洛山と共に冬の山なのだよ」
「残ってるのは、宮地と大坪、木村か……。減ったなあ」
秀徳も合わせて5人、か。テツヤが隣で声を出した。誠凛はバラバラになっていたが……。
「誠凛は洛山にボクを含めて4名、陽泉から冬の山の境に火神くんが、冬の山の中に3名、桐皇近くに3名、秀徳のトップの元に俊くんがいます。キミに命令された連絡係は火神くんが抜けたので連絡係を止めて海常の修復に、桐皇の方は派手に暴れてくれたので現地に行ってもらいました」
……そういや、そんな事もあったな。
「誠凛は、全員残りました」
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