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終焉【海常領主視点】
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誠凛が、全員残った。それは少しだけ俺達に安心感を与えた。
正直、裏切った奴等をまた働かせるのは嫌だった。相手が誠凛なら尚更な。
誠凛は優しいのが多い。何で裏切ったか知らねーが、それなりな理由があるのは分かっていた。
「トップ、僕は近くの扉から逃げるべきだと思う。残った者達を壊れる世界と心中させたくない」
鬼の頭領の言葉に、皆が驚いた。まさか、あの女の声に従うのか!?
「ああ、そうだな」
トップの声が聞こえた。
「かつて、俺達は人間から逃げる為に……平和に暮らすために創世の神よりもらったこの世界に移り住んだ。
だが、世界は壊れた。鬼も悪魔も滅びるわけにはいかない」
「早くしろ!扉が崩れたら逃げられなくなる!」
女の声が急かしてくる。まさか、アレが創世の神ってか?
「海常は秀徳、桐皇は陽泉からそれぞれ脱出しろ!」
トップが指示した。黄瀬は重傷、森や中村達もかなり傷を負っている。
秀徳から、早く外へ逃げなきゃ死ぬ。
「分かった!」
黄瀬への恨みは忘れちゃいない。だが、死んだら何も出来ねえ。
「しっかりしやがれ……!」
意識があるか分からねえ黄瀬を叱り飛ばしながら、扉へ向かう。人間を襲う時にしか開かなかった扉が開いていた。
「……行くぞ」
外になんか、随分出た事ねえ。人間達は鬼や悪魔の存在を忘れている。
攻撃してくるだろうか、受け入れるだろうか。
考えてる暇はねえな。
覚悟を決めて、黄瀬と共に扉をくぐった。
桜の咲く中に女がいた。
「早かったな。お前らはアタシが責任持って転生させてやる。
人間の世界で生きるには、お前らの姿は目立ち過ぎるんだ。人間として、今度は幸せに生きろ」
嫌だ、と言う暇もなく。
疲れ切った俺達は魂の姿になってしまった。
誰かの優しい手に運ばれるのを感じながら……。
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