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二人きりの空間 【忌子視点】
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「マジかよ……」
俺は呟いた。何を考えてんだあの長は。
「……お前」
高尾が口を開いた。
「何だよ」
「うわ口悪っ。俺領主なんだけど」
「知るか。俺からしたら憎い相手だバカ野郎。埋めんぞ」
家の近くに。雪の中に埋もれてろ。
「お前の親は裏切り者だし、何より緑間のトコの鬼と駆け落ちしたのが悪い」
「だから何だよ。俺には関係ないだろ」
「はあ?お前の中には鬼の血もあるんだっての」
俺は悪くない。悪くない筈だ。
確かに俺は裏切り者と裏切り者の息子だ。
だけど、それは親の事。俺には関係ない。
「だから、俺には関係ないだろ……っ」
俺は泣いていた。憎い高尾の前でなんか泣きたくなかったのに。
「っ、ちょ。何で泣くんだよ」
高尾が慌てた。
コイツは馬鹿なのか。忌子と呼ばれて、俺を否定されて傷付かねえとでも思ってんのか。
「知るか!!」
「え、マジで勘弁してくれ」
俺だって悪魔の端くれだ、悪魔の心を読むのは容易い。
この瞬間、高尾の俺に対する感情が変わった。
傷付くと思わなかった?
泣くとは思わなかった?
知るかよ。
「頼むから泣き止めよ、な?テッちゃんに怒られんのやだし」
「てめえは長に怒られてろ」
俺はざまあみろと、今まで泣かなかった分まで泣いてやった。
長は怒らせたら怖い。えげつねえ。
「ああもう、」
高尾は顔を歪ませて、どうすりゃいいか考えていた。
泣く事が、仕返しになるとは思わなかった。もう一度言う。ざまあみろ
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