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欠ければ負け 【誠凛領主視点】
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鬼の眷属、烏の体に入っていると悪魔の力が鈍るかと思ったが、案外鈍らずにいる。
「火神くん、長は?長は無事なの?」
【人間】火神大我の身体を通してリコや順平が話しかけてくる。
「無事だ」
「火神くん?」
黒子が俺を見た。そして笑った。
「ああ、リコさん達と話していたんですね。もうすぐ寝ますから、火神くんももう戻った方がいいでしょう?閉ざされたこの世界へ来るには、力をあまりにも消耗する」
黒子の言う通りだ。何故かいきなり閉められたこの世界に入るには、領主の俺くらいでなきゃならない。
「ボクは大丈夫です。必ず、彼をそちらに帰しますから」
「お前も、戻って来い」
そう言うと、キョトンとした顔をしやがった。
「ボクも?」
「帰ってこねえとか、許さねえからな」
「……はい」
俺は、黒子を大事に思ってる。誠凛全員が帰って来るのを待ってる。
「!」
俺と黒子は、刺すような殺気に窓を見た。
悪魔の館……しかも、黒子だけを狙って殺気をぶつけてきやがった。
「火神くん、今の……」
「ああ、お前に向けた殺気だな。悪魔じゃねえだろ……鬼だな」
悪魔は黒子に悪い感情を持った奴はいない。タツヤ?あー……、ありゃ別だ。
だが、黒子に殺気をぶつける死に急ぎはいねえ。人の心に鈍感な鬼じゃねえ限りは。
「……気の所為「じゃねえからな?」……分かってます」
俺は誰が相手だろうが黒子を守る。
「……彼、でしょうね」
ポツリと黒子が何か呟いた。
「何か言ったか?」「いいえ」
黒子は笑った。俺の不安を吹き飛ばすみてえに。
「さ、火神くん。もう戻って下さい。ボクは寝ますから」
「……ちゃんと、帰って来い。いいな?」
俺の問いに黒子は頷いた。だから、俺は人間界に戻った。
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