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戦況を待つ【秀徳領主視点】
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待機中の俺達は、冬の山を見上げていた。
トップは伊月サンに会った後、洛山……元々トップが領主を務めていた場所に向かった。
目の前の陽泉結界班が気になる。
「高尾」
「ん?何だよ、宮地」
宮地は俺をまっすぐ見ていた。
「もし、あに……頭領が失敗したら、その時は俺に先陣行かせろ」
「は?何で……てか、緑間に言ったわけ?」
何か、俺はコイツを……宮地を無理させたくなかった。
忌子だと言われてもコイツは泣かないと思っていた。コイツは俺達を睨み返していたから。
だけど宮地の泣き顔を見て、コイツも俺達と変わらないんだと思った。
「言ってねえ」
「何それ。俺だけじゃないし、ここの奴ら任せられてんの」
「何の話なのだよ」
噂をすれば来やがった。
「宮地が、そっちの頭領が失敗したら先陣切りたいってさ」
「は?」
ほら、俺と同じ反応した。
なーんでいきなりそんなこと言い出したの。
「洛山の精鋭は戦闘能力の優れた部隊だぞ?有り得ないのだよ」
「……嫌な予感がする。頼む、俺に行かせてくれ」
そう言う宮地の顔は真剣だった。
「……高尾。お前はどうなのだよ」
緑間は俺に聞いた。は?俺?
「……正直反対。宮地程の戦力失いたくないしね。緑間は?」
「俺も同意なのだよ。……だが」
俺達は顔を見合わせた。嫌いだし、憎んでた筈だ。
俺は緑間を、緑間は俺を。だから、鬼と悪魔の血を引く子供の宮地を嫌った。
でも、今は。緑間が綺麗に見えた。美しいと感じた。宮地が可愛く見えた。
「「今までの事を考えたら、意思を尊重するしかない(っしょ/のだよ)」」
やりたい、って言うならやればいい。
ただし、お前を死なせたりしない。そんな事になったら、俺達テッちゃんに殺されるし。
「……反対するかと思った」
「一か八かの賭けだけどさ」
「頭領が無理なら、正直俺達でも不安だ。だが、お前なら両方の力がある。何とか出来る筈なのだよ」
俺達はお前に期待する事にしたんだよ。任せたぜ、宮地。
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