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六輪
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「っ!」
ばちり、と目を冷ますと、ボクは酷い汗をかいていた。頭がぐわんぐわんと回る。ノバラ、ノバラ、どういうことだい、ノバラ。ボクはキミを殺してなんていないよ。誤解さ。そうだ、ボクがキミを殺すはずがないじゃないか、…愛していたんだ。ボクはキミを愛していた、とても、とてもさ。
死にたい。
二人で美術室で描いた絵を覚えているかな?キミは大きなつつじの絵を描いていたね。ボクはすごく感動したんだ。神童とよばれるキミが、何も考えず筆を全身で使ってさ、一心不乱につつじの花を殴り描くその姿が、とても色っぽくみえた。キミの黒い髪に飛び散る赤が、とても、美しくてね。
「この絵ができたら、お前にあげるよ」なんて言って、キミは前髪に隠れた目を細めて微笑っていたじゃないか。
「どうして死んだんだ」
神童、粟井ノバラ。ボクの憧れで、ボクの全てだった。
「愛していたのに」
キミが死んだらボクが一番に会いに行くと決めていたんだ。キミは随分前に死んでしまったから、ボクの首をしめて、早く殺してくれないか。美しく殺してくれないか。
ただ、その前に。
「小堀、なんのマネだ」
「ねぇ、どうしてだい、キミからとてもノバラと同じ色っぽさを感じるよ」
「あ?離せ、冗談…んっ、ん!」
にゅるり、とボクの舌を間宮の口の中にねじ込む。じゅる、と唾液を吸いながら口内を味わうと、がりっ、と噛まれてしまった。痛い、痛いよォ…?口内にじんわりと血が滲む。ふふ、ふふふ
「…お前、ダレだ?」
「ボクの事も分からないのかい?」
「は?キスしたのに変んねぇのか?」
「ごちゃごちゃとうるさいね。………どういうことだ。」
間宮の腹の上に乗って、間宮の細い首を両手で掴んで力を込める。
そんなはずがない、そんなはずがないんだ。
「…っぐぁ!かはっ、は、」
「ノバラの匂いがする、どうしてキミから!ノバラは死んだだろ!!!?死んだはずだ!!!!」
死んだはずだ、おかしい、ノバラの匂いがするなんて、あの、つつじの、甘い匂いが鼻を掠める。
「ぁ、はな、せ…っ!」
「どうして、どうして、どうしてどうしてどうして、ねえ、どうしてだい?またボクの邪魔をするのかい、またボクを殺すのかい、ボクを、ボクを、ボクを!!」
がくがくと間宮の首を揺さぶるたびに、つつじの忌々しい香りが舞う。死んだ可哀想なボクの自尊心。弔ってやらなければ。つ、と涙を流す間宮を見つめると、死にそうに虚ろな二つまなこに、ボクは写っていなかった。その代わりひどく心配そうに間宮を見つめるボクがいる。ボク…?いや、
…ダレだ?
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