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愛情 side K (Kinue)
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優しくて...優し過ぎて...人を傷付けまいと、自分を傷付ける。そんなところまで似なくていいのに...あの子...冬真は...あの人の忘れ形見。成長するに従って、外見までもよく似てきたわ。
自分を傷付けたその傷が、徐々に苦しくなっていき、苦しくなる度に自分を守るための殻を作る。そして、その殻に閉じ籠って、運命のせいと全てを諦めてしまうのよね...
真っ白な雪がしんしんと降る、真冬に産まれたから冬真と名付けたと、電話口であの人が随分嬉しそうに言ったっけ。冬真...わかる?あなたは望まれて生まれてきたのよ。短い間だったけど、父親と母親と幸せに暮らした時期もあるの。
「死」ばかりを見つめて、「生」を諦めてばかりの冬真。突如目の前に現れた一筋の光...それが葉祐君。初めての友達で、ありのままの冬真を受け入れ、否定することなく、そっと寄り添ってくれる優しい子。そして、冬真にとって『希望』そのもの。自分には決して出来ないことを、容易くこなす葉祐君と自分を重ね合わせて、諦めることから自分を解放しているようにも見えた...その瞬間、あなたは確実に『生』を掴もうとしている。葉祐君と出会ってからのあなたは、毎日楽しそうで、よく笑うようになった。
そんな時に突然聞かされた手術と転院の話...医師は母方の祖父のことを引き合いに出した。
(ズルい!)
そう思った。優しい冬真のこと、また自分の感情に蓋をしてしまうはずだもの...
案の定...冬真は了承した。また...自分を傷つけた...
冬真はもう二度と、自分の意思で『生』を掴もうとすることはしないだろう...こんな時...あの人だったら、どんな言葉をかけてあげるのだろう。父親として、どんなことをしてあげるのだろう...
私は心の中で問い掛け、そして祈る...
(兄さん...私は...冬真に何をしてやれる?あの子の唯一の希望を奪わないであげて...あの子を救ってあげて!お願い...兄さん...)
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