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決心 #1 side Y
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夜が明けた。
カーテンの隙間から差し込む明るさで、それに気が付いた。しかし、まだ多数の人間が活動する時間ではないだろう...
冬真を起こさないように、彼の首の下にある左腕をそっと引き抜いた。微かな痺れが…冬真を一晩中抱き締めていたことを証明していた。冬真から少し離れて、眠っている彼を見つめた。
良かった...まだ寝てる...
冬真の寝顔は相変わらずあどけなく、可愛いかった。寝顔をずっと見ていたら、眠っている冬真は、自分の顔が俺の体が触れていないことに気が付いたのか、無意識に俺を探していた。冬真の左手が俺を探して何度か空を切った後、目をうっすらと開けた。
「葉祐君...」
「うん?」
「いるね...?」
「うん。」
昨日、何度も繰り返したやり取り。冬真はまた瞳を閉じて、自分の顔を俺の胸に押し付けた。
「おいおい。そんなに押し付けたら、お前の綺麗な顔が台無しだって。」
俺の声は恐らく届いていない。なぜなら、もうすでに、寝息が静かに聞こえているから...
少しだけ体をずらして、冬真の寝顔をもう一度見つめた。あどけなくて、すっかり安心しきった寝顔。俺は冬真を自分の胸に引き寄せ、再度抱き締めた。
『愛された記憶もない...抱き締めてもらったこともない...』
昨日、涙ながらに訴えた冬真の言葉が去来する。苦しくても何とか一人で立ち上がり、寂しくても仕方がないと諦める。それはどんなにツラかっただろう...どんなに傷ついただろう...
これからは...俺が守ってやろう。
そう思った。
俺の中で愛が芽生えたのは間違いない。それが、「恋愛」なのか、「人間愛」なのか、「友情愛」なのか、よく分からない。ただ、冬真を抱き締めてやれるのは、俺だけしかいないことだけは分かっていた。
冬真が起きないように、また少しだけ体をずらし、冬真の頬に触れた。体質なのだろう。彼の頬は氷のように冷たかった。
俺と一緒の時は、少しでも傷が癒えるといいな...
俺の願望を唇に乗せ、彼の額にキスをした。
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