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first action #6 side Y
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冬真は立っているのも辛い様で、エレベーターの中で、完全に体を俺に預けるようにもたれかけてきた。
「ご...めん......」
「大丈夫。横抱きにしようか?」
「ううん......外...では...恥ずか...しい...よ...」
それでも、エレベーターを降り、辺りに誰もいないのを確認すると、俺は冬真を横抱きにした。口では断っていた冬真だったが、やはり辛いのか、されるがまま無抵抗だった。
部屋まで連れ帰り、事前に天城医師から預かっていた薬を飲ませ、ベッドに寝かせた。
冬真の呼吸音は、徐々に落ち着きを取り戻していった。
「大丈夫か?」
俺はそう言いながら、冬真が寝ているベッドの隅に座り、冬真の髪を梳いてやる。
「うん......」
「良かったな。ご両親…やっぱり冬真のこと愛してくれてたな。」
「ねぇ...葉祐......」
「うん?」
「両親が......愛してくれて...ちょっと...安心した......だけど...母は...いつから...俺のこと...殺したいほど...憎いと...思うようになったの...かな......」
冬真は遠い目をして、どこか宙を見ていた。
「なぁ....冬真?俺を見て。」
冬真は俺を見つめた。
「ご両親...とっても仲が良かっただろ?」
「うん...」
「お母さんは純粋な人だった。だからさ、大好きだったお父さんを亡くしてしまって、かなり落胆して...それで病気になってしまったと思うんだ。お前にしてしまったことは病気のせいであって、お前が憎かったワケじゃない。」
「そう...かな......」
「うん。絶対そうだよ!忘れることは無理だろうけど...それだけは分かってあげようよ。」
「うん......」
「昨日ほとんど寝てないから…体調が悪くなったんだ。もっともっと健康になって、いつかまた、土屋さんに会いに行こう!このままだと、心配させたままになっちゃうだろ?」
「うん......」
薬が効いてきたのか、冬真は瞳を閉じ、それ以上何も言わなかった。
冬真が眠りに就いてから1時間が過ぎた頃、ノック音が聞こえた。扉を開けると、天城医師が立っていた。
「失礼するよ。冬真は?」
「1時間ほど前に眠りました。」
「そうか......」
「あれからどんな話を?」
「冬真に聞かせなくて良かったかも。義兄さんの最後の話がほとんどだったよ...」
「亡くなるひと月ほど前は......咳が酷くて、マスクが外せず、皆さんで心配したそうだよ...」
「咳?」
「ああ...コンコン止まらなかったそうだよ。」
コンコン......
その言葉が妙に引っ掛かった。
コンコン......
どこかで...聞いたよな?...コンコン......
俺はあることを思い出した。
もしかしたら......
今まで、それが真実とされていたこととは全く異なる、別の真実に辿り着こうとしているかもしれない。
間違いない。
こっちの方が本当の真実だなんだ。
身体中が熱くなり、まるで電流が走ったよう…
そんな感覚だった。
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