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訪問者 #3 side T
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葉祐が出掛けて、掃除や洗濯などの家事を一通り済ませた後、一人...静かにベッドに横になってみる...
下半身が少し重い...
でも...これは幸せの重み...
葉祐と一つになれた確証......だから...全然平気。
ほんの数か月前には考えられなかった奇跡。出来ることなら...もう一度会って『さようなら』も言えずにいなくなったこと謝りたかった。その反面、会うのが怖くて...怖くて...
怒っていたらどうしよう...
許してくれなかったらどうしよう...
そして何より...
俺のこと...忘れていたらどうしよう...
でも…葉祐はあの時と変わらず、優しく、惜しみなく愛情を注いでくれて...
本当に...本当に...嬉しかった。
葉祐はずっと一緒にいてくれるって言ってたけど...
それで......それで良いワケないんだ......
いつか返さなくちゃ......いつか現れる優しい女性の元へ......
葉祐みたいな素敵で優しい人は、普通に結婚して、温かい家庭を持つべきなんだ......
素敵な奥さんと可愛い子供達に囲まれて生きるべきなんだ...
俺といたら......未来なんてないもん。
このまま葉祐と一緒にいたら...
同じぐらい優しく接してくれた...おじさんとおばさんに顔向け出来ないもん。
枕に顔を埋めた。葉祐の香りがして、心底安心した。
ごめん...もう少し...もう少しだけ一緒にいさせて...
そうしたら...思い出だけで...生きて行けるから......
ピンポーン
チャイムの音で目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていた。
葉祐は早く帰ると言ったけど...
ドアを開けるか否か躊躇した。
しかし...チャイムは鳴り続け、半ば根負けして、僕はドアを開けた。
そこには、一人の男性が立っていた。男性は僕を見て、
「よっ!」
と言って、微笑みながら右手を上げた。
それから......とても強い力で...俺を抱きしめた。
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