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賑やかな食卓 #1 side Y
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翌日、熱も下がり、朝食前にウッドデッキのリス達を母さんに見せることが出来て、冬真はかなり上機嫌だった。
まさか......見せたい物って...リスのこと?
冬真は天然の節がある...
母さんと二人、そんな不安にかられたが、俺達の不安をよそに...
「おじさん...早く来ないかなぁ......」
と冬真は何度も何度も外を見つめる。
「まるで子供ね!」
母さんはクスクス笑う。
「冬真。親父はまだ来ないし、朝食早く食べないと。食べたら車で出掛けるよ!」
「どこ?」
「ホームセンターとスーパー。」
「どうして?」
「スーパーは食材。今晩、絹枝さん一家を呼んでホームパーティーするの。ホームセンターは寝具一式。親父の布団...ないだろ?」
冬真の顔が急に明るくなった。
「えっ?おじさんとおばさん...ここに泊まるの?」
「そうよ!ダメ?」
母さんが意地悪っぽく尋ねた。
「ううん。嬉しい!」
冬真は笑顔で言う。ホームパーティーよりも俺の両親が家に泊まることが嬉しいらしい...
「ほらね!かなり忙しいんだよ?分かった?だから、早く朝食!」
「うん...」
俺はいつも通り、トーストにバターと苺ジャムを塗り、冬真の皿の上にのせる。冬真はいつも通り、そのトーストをしばらく見つめ、小さく微笑んでから食す。その様子を見ていた母さんが尋ねる。
「冬真君は苺ジャムのトーストが好きなの?」
「うん......苺ジャムのトーストは...幸せの......仲直りの食べ物だから...」
「とっ、冬真!」
時...既に遅し。
母さんは含み笑いでこちらを見る。
「へぇ......あなた達でもケンカすることあるんだ?」
「ううん......ケンカはないです。葉祐は優しいから...でも...この前は僕が悪くて...謝ったら...葉祐がキ......」
「ストーップ!はい!二人とも!コーヒー淹れたから、早く食べちゃって!全然片付かないでしょ!」
「ざ~んね~ん!後でゆっくり冬真君に聞こうっと!」
「母さん!!冬真、絶対シーっだよ!」
「うん......」
はぁ......
油断も隙もありゃしない。
でも......
賑やかな食卓。
こういうのも悪くないかぁ......
あっ...待てよ。親父も来るから、もっと賑やか...いや...もっとうるさくなるんだ...
親父のやつ...冬真に根掘り葉掘り聞くんだろうな...冬真は純粋だから、聞かれたら答えちゃうだろうし...
大丈夫かな...俺。冬真に釘刺しとかないと!
でも......まぁ...いいか...
冬真が楽しそうだから...
うん。はなまる!はなまる!
苺ジャムトーストを、一生懸命パクつく冬真を見て想う。
今日も冬真にとって、優しくて...楽しい一日になりますように......
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