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はじめてのおふろ-4《終》
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「は、何これどうすんだ」
「あっ!だめだよちゃんと麗くん支えてあげて!」
「いや無理だろこれ無理無理」
「無理じゃないって!」
「いや無理落とす...!」
「はぁ?縁起でもないこと言わないで!ほら麗くんの体が冷える前にさっさとやる!」
「簡単に言うなよこいつこんなちいせぇんだぞ!」
「当たり前でしょう、赤ちゃんなんだから!!」
ああだこうだと2人で騒ぎながら麗の体を流していく。
「首の周りとか関節とかちゃんと洗ってあげてね、赤ちゃんってよく蒸れちゃうから」
「首...触って大丈夫なのか?」
「どんな触り方するつもりなの!?優しくだからね!」
麗の小さな体を洗い終える頃には、獅琉も山瀬も疲れきっていた。
風呂って疲れをとるためのもんだよな...これが明日から毎日続くのか...
「親ってすげぇな...」
「そうだよ~感謝しなくちゃね。じゃあ後は麗くんを湯船に入れてあげて、温まったら呼んでね」
「分かった」
浴室から出て行った山瀬を見送って腕の中にいる麗を今一度見下ろす。
すっかり綺麗になったそのまっ白な肌はもちもちで、親馬鹿なのかもしれないがその辺にいる赤ん坊よりも可愛い。
だが麗の顔は今にも泣き出しそうに歪み、愚図っている。
体を洗っている間もずっと嫌そうに首を振っていた。
「あぅ...うぅ...ん...ううぅ」
「何がそんなに不満なんだよ...」
確かに快適な風呂ではないだろうけど、俺だって大変なんだよ...
「もう少しで終わるから、泣くなよー?」
麗を抱いたまま慎重に湯船に入る。
「熱くないか?」
「んんん...ぅ...あ...」
ゆっくりと麗を湯船に入れるとふっと麗の体から力が抜けた。
「ん、きもちいのか?」
「うー...ぁ...」
深紅の瞳を細めて気持ちよさそうにしている麗。
「ふ...かわいいな、お前」
麗の小さな口元をふにふにと人差し指でつつくと、麗はぱくりと獅琉の指を口に含んだ。
「あ」
そのまま獅琉の指を小さな手で掴んで吸い付き始めた麗。
そうか、まだ歯も生えてないから痛くないんだな...
「腹減ってんのか?」
そういえば、こいついつからミルクとか飲み始めんだろ...山瀬に聞いてみないとな...
「それにしてもちっちぇーな、お前...そんなんでちゃんと生きてけんのか?」
獅琉がそう声をかけるときょとんとしている麗と目が合った 。
「ちょっと前までは死にそうだったくせに呑気なもんだな」
「獅琉ー!麗くんが逆上せないうちに上がってきてよー?」
「わかってる!」
山瀬の催促が外から聞こえて、獅琉は麗の口から指を離させる。
「う...ぅ」
「だーめ、もうおしまい」
獅琉は涎でべとべとになっているその顔を見て小さく笑い、湯船から上がった。
────仕方ないから、小さくて弱くて可愛いお前を俺が守ってやるよ、麗。
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