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七夕 2015-16《終》
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しゅるしゅると魔法のように素早く綺麗に浴衣を着付けてもらった麗。
今は獅琉の前でくるりと回ってにこにことしている。
「しー、似合ってる?」
「似合ってるよ」
もう何度このやりとりを繰り返したのか知れない。
実際、似合わないと思われたその浴衣は麗によく似合っていた。
紺色の落ち着いた色合いが麗の真っ白な肌と真っ赤な瞳を引き立たせている。
「ふふ」
袖を口元に当てて嬉しそうにはにかむ麗。
その髪は「ついでだから」と器用な獅琉によってサイドが編み込まれている。
顔にかかる髪が減り、麗の綺麗な顔が良く見えることに我ながらよくやったと獅琉は満足していた。
大きくなっても、麗は世界一可愛いな。
「こら、あんまり動くと着崩れるぞ」
ちょろちょろと落ち着かない麗をソファに座っている獅琉が少し咎める。
すると麗は小走りでこちらへ寄ってきて獅琉の首筋に抱きついた。
「しー、ありがとう」
「...それはもう何回も聞いた」
麗の髪に頬を寄せて麗を抱きしめ、華のような香りを肺いっぱいに吸い込みながら苦笑する。
俺のあしらい方が上手くなってやがる...
「ふふ、何回言っても足りないの。大好きとありがとう」
「...」
暫く成長した麗の背中や細い腰をゆっくりと撫でながらその感触を楽しむ獅琉。
しかし触れているとやはり、どうしてもその浴衣を剥ぎ取り押し倒したい衝動に駆られてしまう。
流石に今着たばかりでそれは可哀想かと、自分の欲を抑えるためにも獅琉はある提案をした。
「麗、少し外出るか?」
「外?」
嬉しそうに顔を上げた麗の瞳はきらきらと輝いている。
「ああ。もう日も落ちてきたし、もしかしたら天の川が見えるかもしれねーし」
「...っ見たい!お星様にお願い事する!」
麗の言葉にまだ願いことがあるのか、と獅琉は苦笑する。
「ん、おいで」
「うんっ」
興奮気味の麗の手を取り、部屋の戸を開けたところで今日は雨だと言っていた朝の天気予報を思い出した。
けどまぁ、いいか。
麗がいれば星なんか見えても見えなくてもどうでもいい。
中庭に出るとやはり、空は曇っていて星は見えそうにない。
「...僕...お星様にしーとずっと一緒にいれますようにってお願いしたかったのに...」
横では麗が泣きそうな顔で空を見上げている。
「あ?んなの星なんかに頼まなくても俺が叶えてやるっつーの」
「...っ、ほんと?」
「あのなぁ...お前、毎日誰に甘やかされて生活してんだよ。ずっと一緒に決まってんだろ」
「来年も、再来年もその次も?」
「あぁ」
「ずっと?」
「ずっとだ。お前が嫌だって言っても離してやんねーよ」
「...っ、だいすき」
「知ってる」
繋いでいた麗の手を引き寄せ、小さく震えている唇に自らの唇を寄せた。
「泣き虫は治ってないんだな」
「う...だっ、て...っ」
ぐずぐずと泣き出した麗を抱きしめた獅琉は、明日の朝には元のサイズに戻っているであろう頼りない存在をこれからも守っていこう、と再び心に誓った。
Без тебя моя жизнь не имела бы смысла...
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