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300万access-1side柚木
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東雲組若頭直属の部下である柚木康平は、この日もいつものように獅琉に付き添い業務の手伝いをしていた。
十年以上の付き合いになる彼には、以前命を救われたと言ってもいい。返しても返しても返しきれない恩がある。毎日尊敬する彼の傍で働けることを心から幸せだと思っていた。
現在の時刻は午後6時。予定していた一日の日程を滞りなく終えた若頭はそろそろ自宅へと帰る時間だ。
少し早い気もするが、彼の屋敷では目に入れても痛くない程彼が可愛がっている少年が帰りを待っている。
黒塗りの車で彼を自宅へと送り届けるまでが柚木の仕事だ。
屋敷の前へと静かに車を停めて「御苦労様でした」と声をかけると、「ああ」という返事とともに意外な言葉をかけられた。
「明日は休んでいいぞ」
「明日...ですか?」
突然言い渡された休暇に、思わず聞き返してしまう。
もともと明日は休みなどではなかった筈だ。
「ああ。どうせ予定入ってるんだろ?ゆっくりしてこい」
「あの、予定って...?」
「俺が知るわけねーだろ」
明日は何か特別なことがあっただろうかと記憶を辿りって見るも、やはり心当たりなどない。
バックミラー越しに後部座席にいる彼を見ると、ジャケットを羽織り正にドアを開けようとしているところだった。
ふと、目を上げた獅琉と目が合う。
明日、何の日か聞いてもいいのかな、大事な日なのかな。
何の思い当たりもない柚木が、獅琉に訊ねてしまおうかと逡巡すると獅琉がそれに気づいたのか、訝し気に言った。
「...明日、山瀬の誕生日だろ?」
初耳だ。
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