アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
嘘泣き。
-
「うわ、また利來(りく)が波人を泣かせてるよ。」
「波人も物好きだよな。泣かされるなら近寄らなければ良いのに。」
朝から騒がしくしている俺達を振り返る。少し腹が立つので睨むと、顔をしかめて何処かへ行ってしまった。
そんな事に目もくれず、波人は泣き続けている。
「あーもう、分かったから。泣くなよ。好きでも何でも勝手に言ってろ。」
これ以上注目を浴びるのも面倒なので波人の涙を拭いてやる。
すると、今まで曇っていた顔があっと言う間に晴れた。
「本当?!じゃあ、いくららでも言うね。りっくん大好きっ。」
また波人が俺に抱きついてくる。
「抱きつくのはやめろ。うぜぇ。」
こうして見ると、俺が波人の事が嫌いに見えるだろうが、決してそうではない。
波人に抱きつかれると、波人に「大好き」って言われると胸が高鳴る。
その高鳴った胸に惑わされて理性が飛びそうになる。波人の全てを奪ってしまいたくなる。ぐちゃぐちゃにしたい。俺は波人の事が好きだ。波人みたいに素直に気持ちを出す事が出来ない。
でも、波人は嘘泣きだろう。俺の事を「大好きだよ。」って言っている事が嘘だったら?俺の心は割れてしまう。
いつもはこんな事を考える事は無いのに、ずっと波人の事を考えていた。波人の好きは本物なのか、俺と同じ意味なのか。
「りっくん、お弁当一緒に食べよう?」
気が付くと波人が俺の前に弁当を持ってにこにこしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 17