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素直になれない。
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俺達は弁当を持って中庭へ出た。そこは、弁当スポットとしてあまり人気が無い。俺はそんなところが気に入っている。
石で出来た机と椅子があり、そこに座って昼食を取っている。何時も波人が中庭で食べたいと言うので、ここで昼食の時間を過ごしている。
ぼーっとしながら弁当を口に運ぶ。味なんて分からない。走馬灯のように波人の事が浮かんでは消え、浮かんでは消えしている。
「りっくん!!」
大声で呼ばれてびくんとなる。
「りっくんってば何回呼んでもぼーっとしたままだったけど…。」
「ん…?嗚呼…。」
頭に現実が急に飛び込んできたので、返事が曖昧になってしまった。
このまま返事が曖昧なままだと無駄に心配されそうなので、一応
「大丈夫だ。」
と言っておく。
しかし、眉をより一層下げている。
「今日のりっくん、変だよ?どうかした?」
大丈夫?と顔全体で呼びかけてくる。
「何でもねーよ。」
これ以上心配されるのも面倒だからそっけなく答えて目を逸らす。
すると、今まで心配オーラを出しまくっていた波人が真顔になった。
「嘘つき。」
波人の綺麗な薄ピンク色の唇から低い呟きがもれた。
その言葉に驚いて波人の方を振り返ると目にいっぱいの涙を浮かべている
「りっくんは僕の事が嫌いだから言ってくれないの…?」
「僕はりっくんの事が大好きなのに。」
「りっくんは違うの…?」
ついにダムは崩壊した。
「りっくん、大好きだよ。」
「僕に何でか話してよ!」
「僕はりっくんの事が大好きなんだから!」
これだけ『大好き』の言葉攻めをされても、こいつは嘘泣きなんだと思うと無性に腹が立った。『大好き』と言っている事も嘘なんだろうと謎の肯定をしてしまった。
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