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愛…それ故の
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2月14 日
セントバレンタイン
日本では恋人同士でチョコを渡すと聞いたことがあるけれど……
フランスは目の前の物が
そのバレンタインのチョコなのかと
目を疑った。
「なにこれ……」
仕事に出ようと玄関を開けると
そこには枯れた白い薔薇に
シンプルなラッピングのされたボックス。
一目見て嫌がらせだと思った。
正直言って触りたくもなかったが
このままにしておくわけにもいかず
仕方なく手に持つと
ボックスからツンと鉄の匂いがした。
「うわ、なんなのこれ……」
思わず顔をしかめダストボックスに
投げ入れようとしたその時、
フランスの携帯が鳴った。
「ったく……こんな時間に誰だよ」
電話はアメリカから……
どうせ、ゲームとかアイスとかの
しょうもないことだと思ったけれど
後々めんどくさい事になるから一応出る。
「bonjour……こんな朝っぱらからどうしたの?」
『どうしたもこうしたも無いんだぞ!!!
イギリスが貧血で倒れたんだぞ!!
早く君も来てくれよ!!俺じゃどうもできないぞ』
電話越しのその声は普段の自信に
満ち溢れた物でなくなにかただならぬ物を
感じたフランスは今すぐと早口で言い、
電話を切り、車に飛び乗った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「イギリス!!!」
病室の扉を開けるとそこには
子供のように泣きじゃくるアメリカと
まるで死人のように青白い顔をしたイギリス。
「フランス!!遅かったんだぞ!!俺…一人じゃ
どうしていいのかわかんなかったんだぞ!!」
「はいはい……わかったから落ち着け」
騒がしい(煩い)アメリカを振り払い
イギリスに近づきフランスは傍に座った。
「大丈夫?」
フランスが頬を撫でると
イギリスはゆっくりを目を開き微笑んだ。
「坊ちゃんが貧血ってどうしたの?」
イギリスは何も答えなかったが
目線はフランスのバックにあった。
「え?なに……ってこれ?」
少し開いたバックからは玄関にあった
ボックスと薔薇の花が見えていた。
「あぁ……ごめんなんでもないから」
バックに押し込もうとすると
それを白い手に弱々しく阻止された。
「なに?」
イギリスの青い唇がゆっくりと動く。
た、べ、た、か?
そう動いた。
「え?なにを食べたかって?」
今日食べたものと言ったら朝食しかない。
もしかしたらお節介焼きの彼のことだから
こんな朝早くに来て朝食を食べたのか聞いたのだろう。自分の身が危ないって言うのに……
「大丈夫……食べたから安心して。」
するとイギリスは安心したように目を閉じた。
ピー
と、無機質な音が部屋に響く。
「イギリス?……ねぇイギリス!!?」
その言葉に答えはなかった。
フランスの頭が真っ白になる。
アメリカの泣き叫んでるであろう声も
フランスの耳には届かない。
どこに行くでもなくフランスはフラフラと
病室を出る。
廊下にある椅子バックを抱くように座ると
バックの中からコトリと小さな物音がした。
バックを漁るとあのボックス……。
最初は見る気もしなかったが
よくよく見ると小さくfrom U.Kとあった。
まさかと思って開けるとそこには
いびつで真っ赤なチョコレイト……。
食べると少し苦くて彼の味がした。
「ったく……相変わらず料理下手くそ……」
2つぶめののチョコレイトは
少ししょっぱくてよく味がわからなかった。
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