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いつも通りの俺達
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◇◇◇◇◇
朝の匂いと風を感じながらペダルを踏み込む足に一層力を込めて漕ぐ
幼馴染みの家が見えてきそうな時
良く見慣れた黒髪のくせっ毛がそよそよと風に遊ばれてる後ろ姿が目に入った。
「よーーーーうちゃん!おはよー!」
大きな声でチャリをめいいっぱい漕ぎながら近づく俺の高いテンションとは反対に
ぼんやりとした目をしながら未だ頭がスッキリしていない寝ぼけ眼の目がこちらに向く
その表情には眉間にシワがよっていて明らかにあまり快く今の掛声を思われてないのがひしひしと伝わってきた
「陽ちゃん!おはよ!また、一緒に通えるね!」
「ん…ちゃん付けはやめろ」
「なんでっ?!」
「ハルちゃんて言われるのと俺が陽ちゃんなんて言われるの周りから見たら、ハルみたいな綺麗な人が言われるのが似合うから」
「えっ?!きっ綺麗?!」
表情を変えることなく真顔で恥ずかしげもなくそんな言葉をいう幼馴染みに顔を赤く染めてしまう
きっと普通の人なら俺のこの反応でバレバレなんだろうけど…
「うん、綺麗だと思うぞ…ハルの目好きだし…いつもキラキラしてる」
「陽ちゃん〜〜っ」
「…………その顔は気持ち悪い、発情期の犬みたい」
今にも飛びつきそうな俺を見て陽ちゃんがギョッとする
表情には大して変化はないけど幼馴染みだからわかる
それが俺にはほんの少しだけ自慢な事だった
「だって大好きな陽ちゃんに綺麗って俺もう嬉しいよ!」
「あっそ、ほら行くぞ……やっぱり直す気はないのか?」
「ダメ?」
「…別に、ハルだけなら構わないけどその代わりに他の人には呼ばれたくない」
そう言って面倒くさそうに抑揚のない声で話をしながら陽ちゃんはペダルを踏み込んだ
陽ちゃんが何だかんだ俺に甘いのは知ってる
大抵「ダメ?」と聞けばため息と引換に「別に」と返事がくる
そんな陽ちゃんが愛しいな〜と思いながら
まだドキドキしてる心臓を落ち着かせて、平静を装いながら昨日みたテレビのたわいない話をした
そうなんだ……、俺は、
幼稚園からずっと一緒に家族同然に育ってきた
幼馴染みの小日向 陽にずっと友達以上の気持ちを抱いてる
気づいた時には「陽ちゃん陽ちゃん」って
陽ちゃんの後ろをついて回っては、
すぐに抱きついたりすぐに本気混じりの告白をしてきたもんだから周りも含めて本人もいつもの癖が始まったくらいにしか思われてない。
全く通じてないし俺が本気だよ!って言ってもはいはいって一蹴りだけど
それでも構わなかった
相手にされていなくても
一緒に笑って何処へ行くにも一緒で
それだけで十分過ぎる程幸せだった
だけど、いつまでもこのままなんて事は俺にも大人になれば陽ちゃんにだって無理な事で
それは薄々気づいていて、
いつかどこかで踏ん切りをつけて向き合わなきゃならない現実で…
だから高校生のあいだに陽ちゃんへの気持ちは断ち切ろうと心の中で決意していた
実は俺は陽ちゃんへの気持ちを勘違いしていて、普通に女の子が好きなのに早とちりしてるんじゃないかとか考えてみたり
実は未だに本当にこれが恋心なのかは分からないなんて言い訳したりしたけど
気づいたらきっと酷いことになりそうだから後悔する前に消したいんだって、認めたくないんだって誤魔化してるのは内心もう薄々気づいてる
だから高校のあいだに本当の幼馴染みとして陽ちゃんの幸せを願えるように
陽ちゃんの隣に立てるように少しずつこの気持ちを消して行こうって決めてたから
俺にとってまた別の意味で本当に新しいスタートになるなぁなんて思いながら陽ちゃんと高校に登校した
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