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行けなくなった夏祭り
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「ああ!勿論寝てる陽ちゃんになにかしようとかもう絶対にしないからね!本当にごめんなさい!」
そう言ってハルは頭を下げた
――これでいい。陽ちゃんを困らせるのは嫌だ。陽ちゃんへの気持ちはやっぱり迷惑なんだから、言ってくれてよかった。
「………ハル………ごめん、俺、帰るよ」
頭から降ってきたその言葉に胸をえぐられる
――陽ちゃん…もう前みたいに俺達戻れないのかな…陽ちゃんに俺避けられちゃうのかな…。もう二度と触らないし、変な気持ち持たないから…俺が本当に諦めたらまた俺と幼馴染みに戻ってくれるかな
「……ん、わかった、陽ちゃん。じゃあ、また今度遊ぼ!楓磨達には連絡入れとくよ」
「……ごめん…じゃあ、よろしく」
そう言い残すと陽はハルの家から帰っていった。
陽が出ていったあと、
初めて陽のあんな取り乱す姿を見たなぁと思い返した。
そしてその残像はハルの心を再びえぐりだす
純粋に好きだった、
いつも俺を庇ってくれて真っ直ぐでいて
人が恥ずかしがるような言葉をさらっとストレートに言えちゃうその無自覚さも
困った顔をして俺のわがままを聞いてくれる陽ちゃんも
少し意地悪してきた時の陽ちゃんも
黒く透き通った潤んだその目に映るものを俺も見たいと思った
陽ちゃんを感動させるものを知りたいと思った
陽ちゃんを傷つけるものから守れる透明な傘みたいなものになりたかった
陽ちゃんの好きな花になりたかった
ただただ陽ちゃんの隣にいれるだけで幸せだった
でも俺が、頑張って見ようって、
わがままな事を願ったからなのかな
俺が陽ちゃん傷つけてたのに
何が守りたいだよ…
俺の気持ちを知ったときに陽ちゃんきっと傷ついたのに…
それも知らずに俺は――
ハルは1人陽の消えたその部屋で
その大きく綺麗な金色の瞳から涙を何度も何度も溢れさせていた
まるでその涙は陽への今までの気持ちのように
頬から落ちた雫は浴衣に落ちてはシミを作っていく。
陽を好きだと思っていた全てが今となってはハルの胸をただ抉るだけの陰となっていた…
――陽ちゃん、ごめん
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