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失ったもの
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ハルが先に教室にはいり、
陽はまた心をじくりと痛ませた。
ハルが見向きもせず教室へと戻っていく
いやってくらい、うんざりするほど、
俺の横を離れなかったハルが俺を…
「陽?廊下に何かある?」
その声に弾かれるように陽は振り向いた
するとそこには変わらずいつもの笑顔でハルが笑っている
そして――陽、と明らかに変わった呼び方をしながら
その事実に陽は頭の中を白く、心の中を黒くチグハグな色に染まる、そんな感覚を味わっていた
ハルの急に変わる呼び名はそれからも続いた。
変わったのはたったそれだけの事だった。
しかし陽にとってハルから呼ばれる「陽ちゃん」は特別だから許すというお互いの信頼や距離の近さみたいなものがあったのだからそう呼ばれなくなった事に胸を痛めるのはおかしなことではなかった
1日過ごして思った。
必要以上にハルは俺に声をかけなくなった。
特に用事がなくてもどんなくだらないことでも話をかけてきたのに今ではそれが全くない。
そして隣に立たなくなった。
それは本当に注意してみなきゃわからないようなほど些細な変化だったが長年ハルと共に過ごした陽には明確な違いだった
移動するときも座るときも何をするにしても陽とハルのあいだにはいつも誰かワンクッション置かれていた
そして俺に全く触れなくなった
あの日の言葉通り
ハルは陽と「普通の友達」をやり直そうとしていた
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