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犬、がんばる
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「ねーねーかいちょーう お仕事しよーよーぉ」
「五月蝿ぇ…風紀の犬が」
突然ですが、元々仕事が滞り気味だった生徒会が機能しなくなりました。
なーんてこったい。
ことのはじまりは、先々週の金曜日。
13日の金曜日だー不吉だーと騒いでいた俺が悪かったのか。
それなら謝る全力で土下座るから頼むよ神様ジェイソン様。
あの日に戻してこの学園へ向かっていたバスを神隠しに合わせてくれーい。
不吉な予感と共にこの閉鎖的な学園にやってきた嵐の名は…忘れた。
俺キョーミ無いことはすっぐ忘れんだよね。悪い癖。
まあ、そんな感じで波乱を呼ぶ転校生が来てしまったわけだ。
その日から学園で最も注目されているだろうとある人間達がドサッと纏めてそいつに惚れてしまったのである。
そう、俺の所属する生徒会の役員達が俺を抜いて全員骨抜きなのさー。
翌週からは転校生に構いっきりで今までも結構サボりがちだった仕事は最早チラリとも手をつけられることも無くなって。
イコール、滞った分の仕事がぜーんぶ俺のとこに来た。
いやいやサボってる奴らの尻ぬぐいとかなんで俺がとか思わなくもないんだけど。
ここで俺が他の役員の仕事無視したら、それはつまり俺のご主人様への迷惑に繋がるわけで。
だから俺も必死に奴らの分の仕事もしてみたけれど、所詮俺の脳味噌の情報処理能力なんて一般ピーポー並み。
死にものぐるいでやっても精々2.5人分しかできないの。
だからあと役員1.5人分が毎日徐々に溜まっていって、わあ、コツコツ貯めればこんなにおっきくなるんだね、貯金って偉大だなーとか感動を覚えるくらいには先週末は頭ぷっつんだった。
でね、俺のご主人様に迷惑かけないようその後も休日返上で必死でやったんだけど結局無理で。
今週の頭にとうとう期限の書類の催促で生徒会室に訪れたあの人に事の次第がバレてしまったのだよーう。
その後報告の義務を守らなかったことで懇々と叱られて、ご主人様が俺にくれた大事な大事なドッグタグを学校裏手の森ん中投げられる寸前だった。あっぶね。
んでその後はご主人様が生徒会の仕事を手伝ってくれて、俺は久しぶりにその日まともな寝床に潜り込むことができたのだ。
そんなことがあってから俺は毎日生徒会の役員達と接触して仕事に戻ってくれないかと頼み込んでいるんだけど、やっぱり今日も今日とて生徒会役員への俺なりの必死の勧誘は失敗に終わった。
元々俺生徒会の中で浮いてたし嫌われてたからなー。
生徒会役員の癖に風紀委員の犬なんて、確かに他の人間から見れば異様に見えてもしょーがない。
でもさあ、だって。
「俺が風紀の犬なのはどーしよーも無いじゃんかー」
俺はこの学園で役職を貰うことになるずーっと前からご主人様である葛の犬だ。
だから、生徒会に入ったののほーが後なんだよ。
しかも生徒会とかなりたくてなったわけじゃねーしぃ。
俺は犬だから、動き易いように風紀には入らなかったってーのに、そこでの役員当選。からの生徒会入り。なりたくてなったわけじゃーない。これっぽっちもない。
なーのに。風紀の犬がなんで生徒会に、とか。風紀のスパイだ、とかさぁ。好き勝手言ってくれちゃってーえ。マジだるだるーって感じだった。
でもさでもさ、ご主人様が生徒会に犬が居るのも便利かもなって言ってくれたから俺めいっぱい溶け込もーと頑張ったわけ。
ま、ぜぇんぶ逆効果だったみたいだけど。
それでも俺は精一杯頑張った。頑張って頑張って頑張ったけど。無理なもんは無理で。
もーこんな奴ら全員俺のご主人様にシバかれてしまえーと念じてたらあの悪夢が歩いてるみたいなやつ来るしさーぁ。
役員仕事しねーし、あの転校生はご主人様の仕事増やしまくるしー、俺は仕事終わんないからご主人様にも会う時間ほとんどねーし。
なにこれ。
俺のことだけなら、もーとっくに諦めてるし、バ会長達に謝るとか頭下げるとか絶対しない。
でもこんまま放っとくとご主人様が大変なんだよ。そんなん犬として見てらんないだろ。
だから、俺は今日もあちこち走り回る。
「ふくかいちょーう、お仕事しま 」
「不愉快です消えてください」
「しょっきー、このあと生徒会室で 」
「…ッチ」
「えええ まさかの舌打ちー?」
犬は犬なりに足と行動でなんとかすべし、と気合いを入れてはみたものの。
この調子じゃ一体いつになったら役員が戻ってくるのか想像もつかない。
更にここ最近厄介なのが、転校生。
俺が役員に仕事しよーよと促しに会いに行くたび寄ってくるわ引っ付かれるわ犬扱いする風紀なんてさいてーだっ!と怒鳴り散らすわ、俺がホタルを助けてやる!とご主人様に文句言いに行こうとするわ…。
ほんとーに珍獣としか言いようのない意味不明な行動パターンに俺はこいつが苦手でしょーがない。
でも仕事のためだし行かないわけにもいかなくて毎日通ってたら、なんかいつの間にか友達認定されてた。わけわからん。
「あーあ、ご主人様きょーもゴキナナかなーあ」
俺の最高にイケてるご主人様のキレーな眉間に本日もくっきりと皺が寄っているだろう様を思い浮かべながら、今日も俺は奔走する。
早く学園が元通り程々平和になって、ご主人様が俺によくやったと言ってご褒美のおやつをくれる日が来ればいい。
犬、頑張りまっす。
end
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なんとなく、生徒会の1員が誰かの犬とかだったらという妄想
全然キャラ練り込めてないんで色々ふわっふわですいません
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