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病室
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「…っ」
足の痛みで目が覚めた。
なん、だ……?
「なんだ、目ぇ覚めたのか」
低い声が聞こえ、その声の持ち主を探そうと体を起こすと全身を激しい痛みが襲った。
「ぁっ…!?」
「まだ起きんな」
体を優しくベッドに戻され、やっと声の持ち主の顔が見えた。
黒の短髪に、すこし縁が太い、黒のメガネの奥には切れ長の瞳が覗く。
シャツを第2まで開けネクタイをだらしなく下げている…こんなに黒ネクタイ似合う人初めて見た。
シャツから見える鎖骨はしっかりと出ていて、男らしい体つきをしている。
あ、かっこいい…
そう思った瞬間瞼を上げられ、ライトを照らされる。
「い゛ッ…」
「ほら、舌だして」
乱暴に口の中に棒を突っ込まれ、その男は、またライトを照らす。
「お前な、5日も寝続けてたんだぞ」
!?
「そ、そんなっですか!?」
たしか車にぶつかって…
「3日間くらいは浦島さんとこのガキ共と総務がお前に付きっ切りだったんだ。病人がこれ以上増えたらめんどくせぇから帰したけど。」
なんか、すごいぶっきらぼうな言い方だな、この人…
「あのー…あなたは一体…」
「あ?人の名前聞くんなら自分から名乗るのが常識ってもんだろーが」
…う
「あ、ぇっと、金無栗栖です…」
「かねなし?珍しい苗字…あ、マリアんとこのガキか?」
メガネを押し上げながら言う。
「ッ!?…な、なんでッッ!なんで母さんの名前ッあ゛ッぁッ…いっだぁ゛ッ……!」
体を急に起こしてこの人のネクタイを掴んだ瞬間、体に電流でも走るみたいに激しい痛みが襲った。
「バカッ…お前ッ急に起きたら傷開くぞッ」
メガネの人は慌てて僕の体を支える。
「ねえっ、ねぇ、母さん…なんで、母さんのこと……ぁ、…なん、で…はぁ、ぁ、っ…ァ、っ」
「なにしてんだお前ッ、バカ、ほら、俺の呼吸に合わせて」
男の人は僕を強く抱きしめる。
優しい匂い……
「ァ、はっ、ッぁ、…はぁっ、はあっぁ、っ……っ、………ぁ、はぁっ、、」
「落ち着いたか?」
「……ん」
「そか、どしたんだお前。マリアと何かあったのか」
メガネさんは僕の背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「……お母さん、知らない男の人とホテルに入っていったんだ…それで、それで僕っ…」
「マリアが…まぁ、あいつなら…って、ああ、悪い悪い」
「……」
僕が強く男の人のシャツを握ると、男の人は気まずそうに顔をそらして自己紹介を始めた。
「……あー…えっと、俺は要和田 颯だ、あーっと…弟もここで働いてっから名前で呼べよ?っておい、聞いてるのか?」
颯…颯……
いい匂い…
僕は颯に抱きしめられたまま、眠気に襲われた。
なんか、安心…
「…そうの匂い…安心する…」
「…っ!?」
「……ん」
なんか、眠くなってきた……
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