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No.8/モテ男
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抱き締めた身体は、俺とあんまり変わらない体型でちっとも柔らかくない。女みたいに、弱くもなく細くもない。儚さなんて欠片もない。
なのに、何でこんなに優しくしたくなんのか…。こんな気持ちを、誰かに抱いた事なんて今まで一度もない。
「加賀、オレ自分で洗うから。そんなに謝んなくてもいーよ。」
どこまでも明るくバカな桜井。
俺の中の罪悪感とか、このモヤモヤする気持ちはどこにも行き場がない。
腕の中の桜井をもっと強く抱き締める。俺の身体の形に沿うように、しっとりと吸い付く肌。もう、自分の体の一部なのかと勘違いしてしまう程に。
俺の背中を、軽く叩いていた手が止まった。
「加賀?寝てんの?」
…んな訳ねーだろ。桜井、本当バカだな。
その純粋さに、胸が苦しくなる。
「風邪引くから出よ。」
ああ、桜井が風邪引くのは俺も嫌だ。
本当に俺の一部になって、離れなければいいのに。
「加賀、…おーい。」
「…分かった。出るか。」
「なんだ、起きてるなら返事しろって。」
しぶしぶ桜井を離す。
俺の気も知らないで、桜井はなんの未練もなく離れていく。
…本当の、バカは桜井じゃない。
俺なんだ。
熱めのシャワーが勢い良く肌を打つ。
少し冷えた桜井と俺の身体を温めて、一緒に浴室を出た。
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