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No.10/モブ男
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「ただいまー。」
「ただいまー。」
玄関の開く音と一緒に、弟の声が2階の部屋まで届く。
オレは加賀が素晴らしい働きで片付けてくれた床を、久し振りにまっすぐ扉まで進んだ。
ドタドタと階段を上がる音が近づく。オレが開ける前に扉が開いて、弟がいっぺんに入ってきた。
「兄ちゃんっ。」
「兄ちゃんっ。」
同時にしゃべった楓と紅葉がガバリと抱きついてくる。オレはいつものように、自分よりちょっと背の高い2人を受け止めきれずに床に倒された。体を打ち付けるのを防止するように、楓と紅葉の腕が体に絡んでくる。
「双子…。」
加賀のつぶやきが聞こえる。加賀に返事しようにも、楓がただいまのチュウをしてくるから話せない。楓が離れたら、今度は紅葉がチュウしてくる。
「キスしてる…。」
加賀が呆然と言ってるけど…違うぞ!家族はノーカンだって、これはキスじゃなくて挨拶だからって2人が言ってた。
「兄ちゃん、シャワー浴びたの?」
楓が聞いてくるから、抱き締められて苦しいまんま、うんって頷く。
「兄ちゃん、なんか汗かく様な事したの?」
紅葉が聞いてくるから、うんって頷く。
「へえー。」
「へえー。」
2人が、加賀を見た。
「この人誰?」
「友達?」
「モテの極意の師匠。」
やっと、解放されて声が出た。2人が顔を見合わせて頷く。
「兄ちゃん、師匠にジュースでも出してあげなよ。」
「お菓子も有るから、師匠に持ってきてあげなよ。」
あ、そうだった。加賀は昨日、炭酸くれた。モテの極意の実践をしないとな!
「加賀、ちょっと待ってろなー。」
「おい、桜井っ。」
オレは、なんか言かけた加賀を残して下に降りた。
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