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No.12/モブ男
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「とにかく、桜井を離せ!」
「嫌だね、命令すんな!」
「独り占めとかさせないし!」
なんか、3人で揉め始めた。なんだろうな…。
捲れ上がってたTシャツを元に戻し、脱がされてその辺に落ちてたパンツとジャージのズボンを拾う。立ち上がって存在を主張するモノを無理矢理パンツに押し込み、ズボンを履いてトイレに向かった。
出すもん出さねーと、おさまんないわ。
トイレから帰ってきても、まだ揉めてた3人をあくびしながら、布団の上に座ってぼうっと見てる。
「だから、俺は本気なんだ!桜井の身体を共有するつもりは無い。」
もう、オレ寝ていいかな?眠くて話が全然頭に入ってこねーし。
「僕達も本気だし!勝手に自分のもの気取りすんの止めろ。」
「もうさ埒が明かないから、兄ちゃんの意見を聞いてみる?」
あれ?がばっと、すごい勢いでみんながこっちを見た。
「え?なに?」
「桜井は、この中の誰が好きなんだ。」
「僕達は2人一緒でいいよ。」
「だから、僕達と加賀さんどっちが好き?」
眠い頭で、考える。
「えーと、楓と紅葉は家族なんだし、もちろん好きだ。」
「えーっ、家族としてじゃなくてさ、」
「そう、セックスするのも含めて、恋人としてどうなの。」
うん?セックスはモテテク覚える為に加賀とならしたけど…、さっきは楓と紅葉がなんかモテテクの復習するからどうとか言って、寝てるところを起こされてよく分かんないまま始まって…あれ?なんか加賀が…。
「あのさー、さっきモテテクは嘘って言ってなかった?」
「…まあ。」
「…嘘だよね。」
「…すまん、桜井。」
嘘!!じゃあ、何のためのセックスだったのか…。
「なあ。ひょっとしてさー、オレってただ男とセックスしてただけ?」
3人が、決まり悪そうな顔してこっちを見てる…。
「…うん、兄ちゃんが好きだから。」
「…ごめんね。兄ちゃん、かわいいんだもん。」
「…本当すまん。桜井の事が本気で好きなんだ。…で、どうなんだ…どっちを選ぶ?」
……。
3人が、真剣な顔でオレを見てる…。
「…じゃあ嫌だ。男とはもうしたくない、女の子がいい。もう眠いから寝る。おやすみ。」
みんなが居る布団から離れて、自分のベッドへ潜り込む。頭の先まですっぽりと毛布にくるまって、みんなに背を向け壁の方に寄って丸まる。
…オレはバカなんだって、よく言われるし…それは自分でも分かってる。
だけど…。
なんだろな…胸の中に、じわじわ悲しみが広がる。
みんなに音が聞こえないように小さく鼻をすすり、涙をTシャツの袖で拭った。
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